研究課題
平成24年度は,本研究目的である「オーバーリーチ干渉特性」について,広島市立大学および広島大学(盆地)の観測系に加え,新たに山岳部での特性を評価するため,阿蘇山麓に観測系を設置し,観測を開始した。広島圏内のみならず九州圏内においてもUHF帯地上波ディジタルテレビ放送波およびVHF帯FM放送波の同時観測が可能であることを確認した。また観測期間中,FM放送波の受信レベル上昇時には地上ディジタルテレビ放送波の受信レベルも上昇することを確認した。受信レベル上昇の要因については山岳伝搬においても,大気屈折率に起因して形成されたダクトとの相関が強いことを明らかにした。また,見通し外オーバーリーチ伝搬特性について,広島市立大学(中緯度)とキルナ(北極圏)の観測結果から,MF帯およびLF帯の受信レベル変動は,日の出・日の入りの時刻と相関が高いことを確認した。また,キルナにおける観測では,太陽フレアなどの太陽活動のみならず地磁気変動とも相関が高いことを明らかにした。さらに,開発したレートレース法をもとに,気象台から公表される高層気象データから大気の電波屈折率を求め,実測データと比較した。その結果,任意の電波伝搬経路において経路推定できることを明らかにした。また得られた成果は学術論文誌に投稿し採録された。また,本研究による2年間の研究成果をまとめ,H24年度末に総務省中国総合通信局主催の放送部会にて報告した。講演会の後,地元放送局の担当者から「隣接国からの地上ディジタル放送波オーバーリーチ干渉について」調査協力のご相談をいただき,成果の地域貢献に繋がった。
2: おおむね順調に進展している
これまで各地に構築した観測系は,すべて安定に連続観測を継続できている。また観測系を設置した周辺の人工ノイズの影響を受けることなく,観測対象の電波を精度よく計測できている。観測データを検証するため,コンピュータ上にレイトレース法を実装し,高層大気データから電波屈折率を求め,電波伝搬経路が精度よく推定できることを確認した。得られた研究成果は国際会議にて速報し,専門家の間で高い評価を得ることができた。また学術論文誌にも投稿し採録された。また本研究による2年間の研究成果をまとめ,総務省中国総合通信局主催の放送部会にて報告した。講演会の後,地元放送局の担当者から「隣接国からの地上ディジタル放送波オーバーリーチ干渉について」調査協力のご相談をいただき,成果の地域貢献に繋がった。以上の通り,研究はおおむね順調に進展している。
これまでに広島市立大学および広島大学(盆地)の電波観測系に加え,阿蘇山(山岳部)にも新たな観測系を設置し,複数箇所での観測を継続した。広島圏内のみならず九州圏内においても,地上波ディジタルテレビ放送波とFM放送波の同時観測により,干渉源の特定が可能でることを確認した。H25年度は研究の最終年度にあたり,引き続き複数個所での観測を継続し,RSSIによる受信レベル特性およびBERによる伝送品質特性を評価するとともに,研究の集大成として国際会議および学術論文誌への投稿を行う。また広島市立大学(中緯度圏)およびキルナ(北極圏)における,MF帯のラジオ放送およびLF帯の電波時計標準電波のオーバーリーチ伝搬特性の観測を継続し,中緯度圏と北極圏におけるオーバーリーチ伝搬の違いおよびその要因を明らかにする。H24年度末に総務省中国総合通信局主催の放送部会にて,本研究成果を報告し講演会の後,地元放送局の担当者から「隣接国からの地上ディジタル放送波オーバーリーチ干渉について」調査協力のご相談をいただいた。H25年度は研究の最終年度ではあるが,地元放送局に協力し新たな観測系を設置し,隣接国からの地上ディジタル放送波オーバーリーチ干渉の実態調査およびその対策法を検討する。また得られた研究成果は国際会議に速報するとともに,学術論文誌への投稿を行う。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Journal of Atmospheric Electricity
巻: Vol.33, No.1 ページ: 1-8
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