研究課題
本研究では,洞房結節から生じる活動電位の伝導に伴う心筋収縮応答の伝播に着目し,この現象を超音波でin vitro計測することにより心筋収縮特性を非侵襲で診断する新たな手法の実現が期待できる。その基礎的検討のため,in vitro計測により心筋収縮応答の計測・解析を行った。長軸方向の0.2mm間隔,72点において,位相差トラッキング法により,筋収縮による心筋表面の振動速度v(t)を計測した.Parallel Beam Formingを用いて,送信回数M=3回で72本のビームを形成し,3472Hzの高フレームレートを実現している.これにより,数 m/sの心筋収縮応答の遅延の計測を可能にした.ここでは,72本のビームにおいて心筋表面の振動速度波形を取得した.ビーム番号αの速度波形vα(t)に対するビーム番号βの速度波形vβ(t)の遅延時間τを算出した.算出されたτijを,ビームβの位置に対してプロット整理し,最小二乗法によりその傾きの逆数から心筋収縮の伝播速度csを算出した.計測には超音波診断装置(Aloka社製α-10)の10MHzのリニアプローブを用いた.計測対象は10週齢Sprague-Dawley ratの心臓より単離した左心室壁である.組織液はKrebs-Henseleit Solutionとした.組織液の温度は37℃とし,混合ガス(酸素95%,二酸化炭素5%)を十分に溶かして使用した.方形パルス2Hz,刺激電圧3Vの電気刺激を与えた.収縮応答の遅延時間分布図の解析の結果,電極から遠ざかるごとに遅延時間が増加し,収縮応答が伝播する様子を示した.さらに,輝度が低い箇所は収縮応答の発生が遅いという結果が得られた.これは音響インピーダンスが低く,組織の弾性率が低いことを示す可能性がある.収縮応答の伝播速度cs=2.5m/sと算出された.ラット摘出心筋を用いたin vitro実験によって,電気的興奮に伴う収縮応答を振動速度波形として示し,収縮の遅延時間を算出することで収縮応答が伝播することを示した.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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