研究課題/領域番号 |
23360179
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
竹村 泰司 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (30251763)
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研究分担者 |
山田 努 横浜国立大学, 工学研究院, 助手 (70251767)
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キーワード | 磁性ナノ粒子 / がん温熱治療 / 磁気緩和 |
研究概要 |
がん温熱治療(ハイパーサーミア)は、患者負担が軽微な治療法である。腫瘍部に集約させた磁性ナノ粒子を外部交流磁界で発熱させる方法が有望であるが、体内に集約可能な低濃度で十分な発熱を得ることができないという課題がある。低磁界強度で高効率に発熱する磁性ナノ粒子の開発が急務である。磁性ナノ粒子の発熱機構を明らかにするために、磁気特性と発熱特性の測定手法を確立することを研究目的とする。また、磁性ナノ粒子を添加した培養細胞の形状像に加え、走査プローブ顕微鏡を用いた高感度磁気像により磁性ナノ粒子の位置を特定する観察評価法を検討する。今年度の研究実績を以下に示す。 (1)発熱特性の評価 溶媒若しくは寒天中に分散させた磁性ナノ粒子の交流磁界による自己発熱温度を測定した。磁性ナノ粒子は市販品に加え、国内企業、学内研究室、共同研究大学から提供されるものである。一次粒径:8~200nm、二次粒径:30nm~1μm程度として、生体適合性の高いY-Fe2O3、Fe3O4に加え、磁気特性や細胞毒性にバリエーションをつけるためにCoFe2O4、NiFe2O4、MnFe2O4など種々のフェライト材料を試料とした。発熱特性、及び直流・交流磁気特性の評価から、交流磁気損失におけるネール緩和とブラウン緩和の寄与を明確に分離し、示すことができた。 (2)磁性ナノ粒子の磁気力顕微鏡観察 走査プローブのカンチレバーの動的Q値制御を可能にするシステムを導入し、磁性ナノ粒子の高感度な磁気力顕微鏡観察を実施した。今年度は観察方法におけるパラメータ最適化等を比較的粒径の大きな磁性粒子を用いて実施し、消磁した試料と着磁処理した試料で明瞭な磁気像の相異を観測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁性ナノ粒子の直流・交流磁気特性の評価から、交流磁気損失の寄与を明らかにできたことは意義があり、次年度以降の研究実施に繋がる成果であるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の成果を基に、磁性ナノ粒子の発熱機構の解明に着手する。また磁性ナノ粒子の表面被覆による機能付加を試みる。研究遂行上の問題は特にない。
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