研究概要 |
本研究課題では、研究代表者(末廣)が世界に先駆けて開発した誘電泳動集積法によるカーボンナノチューブセンサの作製技術に半導体カーボンナノチューブの分離濃縮技術を組み合わせることによって、従来よりも高感度・高機能なセンサを作製する技術を確立することを目的として計画されたものである。平成24年度に得られた主な成果は以下の通りである。 1. スピンカラムとゲル濾過担体を用いる半導体CNTの分離・濃縮法(スピンカラムクロマトグラフィ法)を考案し、半導体CNTがカイラリティに依存して分画されカイラリティ(n,m) = (9,4)がセンサ応答に大きく寄与していることを示唆する結果を得た。 2. スピンカラムクロマトグラフィ法によって、(n,m) = (9,4)のカイラリティを更に選択的に分離・濃縮する手法を提案し、同手法で分離・濃縮したCNTを用いてガスセンサを作製し、その二酸化窒素応答を比較した 3. 上記の分離法により得られた2つのフラクション(D1-1、D1-2)の吸光度を測定した結果、D1-1にカイラリティ(6,5)が、D1-2にカイラリティ(9,4)が多く含まることがわかった 4. これら2つのフラクションを用いて誘電泳動集積法によるガスセンサ作製を行いそのNO2応答を測定した。その結果、カイラリティ(9,4)が多く含まれるD1-2がD1-1と比べて、センサ感度が60 %以上向上するという結果となった。 5. 以上の結果より、カイラリティ(9,4)がセンサのNO2応答に高く寄与していることが確認された。
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