研究課題/領域番号 |
23360183
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山本 茂 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (70220465)
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研究分担者 |
金子 修 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (00314394)
奥 宏史 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (20351455)
牛田 俊 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30343114)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 制御工学 / 制御系設計 / モデル化 / 内部モデル制御 |
研究概要 |
本研究は,閉ループ調整に現れる「モデル―制御―性能」のトリプレット構造と呼ぶ相互依存性を活用する内部モデル制御を用い,閉ループ観測データから所望の閉ループ性能を達成する制御器と対象の数式モデルを同時に求める問題を解き,外部環境や対象の変化に応じて閉ループ系の自動調整が可能な適応型内部モデル制御を構築することを目的とする. 平成25年度も線形時不変系に焦点をあて,内部モデル制御の拡張版である二自由度制御系のフィードフォワード制御と不安定系を扱える修正内部モデル制御系のチューニングにFRIT法を用いた閉ループ調整を適用するときのモデルと制御の同時獲得についての結果の考察や整理を行った.さらに,最適レギュレータの逆問題(ILQ)で求まる状態フィードバックゲインが対象のパラメータを用いて陽に表現されるという特長に着目し,これを活用した同時獲得の可能性について考察した.また,オブザーバを併合した状態フィードバックからなるサーボ系に対しても,同時獲得の可能性について考察を行った.さらに,小型無人ヘリコプタを対象として多入力多出力系の閉ループ同定実験環境を改良し,モーションキャプチャを用いた非接触位置姿勢計測系も導入し,自律飛行のための不安定多入力多出力系に対する数式モデルと制御器パラメータと達成可能な制御性能の関係を調査する環境を整えた.また,予測誤差型閉ループ部分空間同定法に関連する高次モデル同定法の逐次アルゴリズムより生成される検出信号の統計的性質を明らかにし,監視対象の動特性変化を検出するための統計学的検定論に基くオンライン変化検出法を開発した.ジャストインタイム法を用いた内部モデル制御については,小型無人ヘリコプタの姿勢制御,人型および車輪型ロボットの安定化制御,カメラ-プロジェクタを用いた画像処理系に加え,レンズ加工機という新たな機械系への適用可能性を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィードバック制御系の自動調整法に関する研究を仮想参照信号による繰り返し調整法と蓄積データを活用するジャストインタイム法に基づいて進めているが,後者については当初の計画より若干遅れているものの前者については順調に研究が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られた理論的結果を実験により検証することが実用化に向けた課題である.その際,理論的に考慮できていない事象などを明らかにして,理論的な結果をより発展させることが重要である.この研究課題で提案する新しい閉ループ調整法を実用化するためにも,実験による検証が不可欠である. 特に,FRITによる閉ループ調整では,不安定系に対する内部モデル制御の理論解析や時変系・非線形系などへの拡張を行う予定である.またこれまで得られた非最小位相系やむだ時間系,二自由度制御系などに関する成果を統合し,より俯瞰的な立場から,全体の研究成果に対する考察と整理を行う.また,閉ループ系の変化検出法については,数値シミュレーションと整備した実験環境下での実機実験によって有効性を検証することが課題である.並行して,ジャストインタイム法を用いた閉ループ系のパラメータ調整法を現実のシステムに実装し,理論的な結果をより発展させることが重要である.閉ループ同定法の開発・援用については,数値シミュレーションと整備した実験環境下での実機実験に よって有効性を検証することが課題である.特に,対象の動特性変化に対応できる高速逐次閉ループ同定アルゴリズムを改良して時変系への適用を試み,ヘリコプタの自律飛行モデルの獲得に応用する.
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