研究課題/領域番号 |
23360192
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩波 光保 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (90359232)
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研究分担者 |
川端 雄一郎 独立行政法人港湾空港技術研究所, 構造研究領域, 主任研究官 (10508625)
合田 寛基 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20346860)
玉井 宏樹 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20509632)
加藤 絵万 独立行政法人港湾空港技術研究所, 構造研究領域, 構造研究チームリーダー (90371765)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 動的荷重 / コンクリート / 破壊進展機構 / 動的全視野計測 / 材料劣化 / 数値解析 |
研究概要 |
本研究では、動的荷重を受けるコンクリート構造物の破壊進展機構の解明に向けて、動的全視野計測手法の構築、部材の動的性能に及ぼす材料劣化の影響評価、動的荷重を受ける数値解析手法の構築、の3つに大別して検討を行っている。 まず、動的全視野計測における検討では、静的載荷によるモルタルの変形挙動と衝撃載荷に近い微小時間載荷によるモルタルの変形挙動との比較を目的とした基礎実験を実施した。静的載荷では、モルタルの圧縮変形を計測できた一方、微小時間載荷では、撮影画像間の輝度値分布におけるばらつきが大きかった。これは、照明やカメラの感度によるノイズの影響が原因とみられ、撮影環境とともに、画像処理の方法も含めた検討が必要であることが考えられた。静的環境下でカメラを移動させる撮影方法では、評価可能な再現性を担保できる方法を確認した。 次に、部材の動的性能に及ぼす材料劣化の影響評価として、繰返し衝突荷重を受けるRC版の押抜きせん断抵抗性の評価を実験的に行い、繰返し衝突荷重を受けるRC版の破壊進行過程について明らかにした。また、既設防波堤ケーソンの補強を想定し、ケーソン中詰材を固化する技術を考案するとともに、載荷実験によってRC版の破壊進行を抑制できることを確認した。 動的荷重を受けるコンクリート構造物の数値解析手法の構築に向けた検討については、前年度までに提案していた手法の構成則や破壊則を修正することを試みた。具体的には、コンクリートの構成則に平面キャップを有するDrucker-Pragerの降伏条件を仮定し、さらに、圧縮破壊を考慮するために圧縮域における軟化特性を考慮することとした。前年度までのモデルとの比較により、本モデルの有用性を検証できたが、今後、実験結果との比較検証を実施していく必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画において示した、「動的全視野計測の計測条件の最適化」、「局所的に腐食を生じたRC部材の疲労特性」、「局所破壊を再現可能な解析手法の基盤作成」という個別の目標に対して、いずれも十分な研究成果が得られている。また、これらの成果を基に、数編の学術論文を投稿し、学会発表についても、国際会議での発表も含めて積極的に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究代表者および研究分担者が近密な連携を図り、研究を行っていく。動的全視野計測に関しては、最適化条件を基に各種実験について計測を行い、既存の計測手法と比較してデータの整合性の確認を行う。腐食を生じたRC部材の疲労特性については、腐食と疲労を同時に生じさせる実験を実施する。局所破壊を再現可能な解析手法については、コンクリートの局所圧壊等を考慮した解析手法の構築を目指す。次年度が最終年度であるため、これまでに得られた研究成果をもとに、動的荷重を受けるコンクリート構造物の破壊進展機構の解明を図る。
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