研究課題/領域番号 |
23360194
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石原 孟 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20323511)
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研究分担者 |
山口 敦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00376500)
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キーワード | 構造工学 / 地震工学 / 維持管理工学 / 風工学 |
研究概要 |
平成23年度は、まず鉄道沿線の建物と植物の影響を予測できる一般化キャノピーモデルを開発すると共に、走行中の列車に作用する空気力の発生メカニズムを解明し、鉄道沿線の強風リスク評価手法を確立した。 鉄道沿線の風は、周辺地形だけではなく、近隣建物や植生などの影響を受けるため、鉄道沿線の建物・植生の影響を統一的に評価できるモデルが必要となる。本研究ではまず、植生や建物による抗力を統一して表現可能な流体力モデルの定式化を行うと共に、従来解析困難であった高占有率の流れ場にも適用可能な乱流モデルを提案し、任意占有率を有するキャノピー内外の流れ場を解析できる一般化キャノピーモデルを構築した。次に、構築した一般化キャノピーモデルを鉄道沿線強風予測に適用できるように、国土交通省提供の土地利用データおよび建物に関する電子地図データからキャノピーモデルのパラメータを求める手法を開発し、最後に占有率の低い植物から占有率の高い市街地における風速場を予測し、風洞実験及び実測の結果と比較することにより、その予測精度を検証した。 列車の転覆限界風速を正確に評価するためには、列車に作用する空気力を高精度に評価する必要があるが、従来の転覆限界風速の評価に必要な列車の空気力係数は一様流または乱流中の風洞実験により求めてきた。しかし、列車の走行速度が低い場合には、列車との相対風速は乱流に近いが、列車の速度が増すにつれて、相対風速は一様流に近くなる。実際、列車に作用する空気力を正確に評価するためには、乱流と一様流中に得られた空気力を組み合わせる必要がある。本研究では、停止及び走行する列車を対象に、数値流体解析及び風洞実験を実施し、乱流と一様流中における静止列車に作用する空気力の評価と共に、空気力の組み合わせの妥当性を走行する列車から求められた空気力により検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年10月、列車の横風対策に関する実験の実施中に、列車模型に不具合が生じたため模型の改修と計測方法を変更する必要が生じ、補助事業の年度内の完了が困難となったが、補助金の繰越が承認され、当初の予定を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発されてきた鉄道沿線の強風リスク及び横風対策評価手法を1つのシステムにまとめ、実際の鉄道沿線における強風予測 を行い、複数地点での風速記録と比較することにより、その予測手法の精度を検証すると共に、これまでに提案された各種横風対策の 効果を定量的に評価する。 また、本研究で提案した一般化キャノピーモデルに基づく鉄道沿線の強風発生頻度の評価手法、モデル化した空気力による列車の転 覆限界風速の評価手法、鉄道沿線における強風リスク及び防風柵などの横風対策の評価手法、風洞実験と数値流体解析による列車に作 用する空気力の評価手法をまとめ、鉄道横風対策ガイドラインを作成する。
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