研究課題/領域番号 |
23360196
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇都宮 智昭 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10211773)
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研究分担者 |
間瀬 肇 京都大学, 防災研究所, 教授 (30127138)
池上 国広 長崎総合科学大学, 工学部, 教授 (70320405)
石田 茂資 海上技術安全研究所, 洋上再生エネルギー開発系, グループ長 (30360712)
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キーワード | 洋上風力発電 / 浮体構造物 / 動的応答 / 連成振動 / マルチボディダイナミクス |
研究概要 |
実稼動状態での浮体式洋上風力発電施設の動的挙動と発生応力を正確にシミュレーションできるプログラムを開発することで、設計手法の高度化を行い、施設の高信頼性確保につなげることを研究目的とし、以下A~Cのサブテーマに従って研究を実施した。以下、それぞれの成果を要約する。 A.マルチボディダイナミクスを基礎とするシミュレーションプログラムの開発 NREL/FASTをプリプロセッサとし、MSC.Adamsをソルバーとして用いることで、有限な剛体変位、係留系の非線形反力特性、スパー型特有のMathieu Instabilityの再現、風車ブレード・タワー・浮体基礎の弾性変形の全てを考慮可能とし、また風車のピッチ制御アルゴリズムをBladed-DLL形式で組み込み可能なシミュレーションプログラムの作成をほぼ終了した。 B.実海域洋上での自然環境外力のモデル化 別途実施された環境省浮体式洋上風力発電実証事業により、ほぼ1年間にわたる風、波の連続データが取得され、また、流れについては、夏季・冬季においてそれぞれデータ取得された。これらのデータに基づき、風速の鉛直プロファイル、洋上風の乱流強度、風速と波高の相関、流れの鉛直プロファイルについては、IEC61400-3に準拠する形でその定量的なモデル化を行った。なお、これらの妥当性検証は今後の課題である。 C.水槽実験および実海域実験に基づくシミュレーションプログラムの検証 別途実施されたスパー型浮体に対する水槽実験データを整理し、シミュレーションプログラムの検証に供した。概ね、シミュレーションプログラムは実験結果を良好に再現できたものの、流れによるVIM (Vortex Induced Motion)が発生する際には、流れ方向の力(抗力)および流れと直交する方向への動揺(SwayおよびRoll)が過小評価傾向にあることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A~Cのサブテーマのうち、Aのプログラム開発は、当初予定していた部分はほぼ終了したため、順調に進展していると評価できる。今後は、Aにおいて新たに必要となった項目およびB、Cについて注力する。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、当初研究計画に従って今後も研究推進していく予定であるが、当初予想しなかったVIM発生にともなって浮体応答予測精度が悪化する場合のあることが新たに分かったため、本観点からの検討を新たに実施する予定である。
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