研究課題/領域番号 |
23360197
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上田 隆雄 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20284309)
|
研究分担者 |
橋本 親典 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (10180829)
渡邉 健 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (50332812)
塚越 雅幸 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (50579711)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 塩害 / ASR / リチウム塩 / 電気化学的手法 |
研究概要 |
本研究では,電気化学的鉄筋腐食評価手法や近赤外分光法も利用して塩害とASRの劣化機構を解明するとともに,その対策工法として,種々のリチウム塩を劣化構造物に効果的に供給することでASRおよび鉄筋腐食を抑制する手法をシステムとして確立することを目的とする。平成24年度は,アルカリの供給形態が異なる場合の劣化進行モニタリングを通じて,複合劣化機構の考察を行うとともに,通電によるリチウム塩の供給を行った供試体の長期的な挙動を把握した。平成24年度に得られた結果を以下に要約する。 (1) 初期に内在アルカリ(NaCl)を含む供試体では,ASRによるコンクリート膨張とCl-による鉄筋腐食が同時に進行し,保管温度が高いほど急速な膨張を示した。ただし,保管温度が40℃の場合には,ASRの進行に伴って鉄筋の自然電位は貴変する傾向を示した。 (2) 外来アルカリとして10%NaCl溶液の浸透を受ける供試体の場合,反応性骨材を含まない配合では,Cl-の浸透に伴う急激な自然電位と分極抵抗の低下が見られたが,反応性骨材を含む配合はCl-浸透が抑制されるとともに,それに伴う鉄筋腐食傾向も比較的に緩やかとなった。 (3) 外来アルカリの供給を受ける供試体は,反応性骨材を含む場合も含めて,コンクリートの膨張は認められなかったが,緩やかなASRの進行とともに,コンクリート中のCl-の浸透を抑制した可能性がある。 (4) 近赤外分光法により測定した,波長1412nm付近における吸光度の変化は,ASRによるコンクリート膨張率と良い相関を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内在アルカリと外来アルカリの違いも含めて,塩害とASRの複合劣化供試体の劣化進行を明確に測定できており,通電によるリチウム塩浸透状況も把握できたため,今後の長期的検討につながる成果が挙げられたと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
特に問題なく,研究計画通りの検討が進行している。今後は,劣化メカニズムに即した具体的な対策方法について詳細な検討を加えていきたい。
|