• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

シナリオ型の地震動および進行性破壊を考慮した鋼橋の高度耐震・制震設計法の開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 23360200
研究機関名城大学

研究代表者

宇佐美 勉  名城大学, 理工学部, 教授 (50021796)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワード制震 / 高機能 / 鋼橋 / シナリオ型地震動 / 低サイクル疲労 / 進行性破壊
研究概要

研究目的は,鋼橋の耐震・制震設計の高度化を図るため,断層モデルによる地震動の発生・伝播・増幅を考慮した設計用地震動の作成手法,および構造物が終局状態に至るまでの進行性破壊を考慮した地震応答解析手法を開発し,安全性ならびに地震後の修復性照査を一貫して行うことが出来るシステムを確立する.併せて,開発した構造解析手法および照査法の妥当性を,制震ダンパー付き鋼橋モデルの耐震実験によって検証することである.
本年度は,(1)高性能のアルミニウム合金製制震ダンパー(BRB)の開発,(2)鋼製あるいはアルミ製BRBを斜材に設置したトラス構造の耐震性能比較を行った.成果概要は以下のようである.
(1)アルミの種類,BRBの製作方法,載荷パターンを変えた供試体15体を用いて1次~3次にわたって実施されたBRBの低サイクル疲労実験により,調質アルミA6061S-T6を素材とし,溶接を一切使用せず,高力ボルトで組み立てたBRBは,鋼製高機能BRBの変形性能および低サイクル疲労性能に匹敵する性能を保有していることを実証している.
(2)同一断面の鋼製(SM400)またはアルミニウム合金製(A6061S-T6)BRBを斜材に設置した剛結鋼トラス構造に,一定鉛直力(死荷重想定)と繰り返し水平力(地震力想定)を破壊に至る迄実施し,トラスの進行性破壊性状の比較を行った.その結果,鋼BRBは軸方向剛性およびひずみ硬化による強度上昇がアルミニウム合金BRBに比べ大きいため,鋼BRBトラスは損傷が主構造まで拡がることが分かった.このことは,橋梁の耐震性向上を目的に横構・対傾構にBRBを使用する場合,BRBの軸方向剛性・強度を過度に高めることは,周辺部の部材・部位に損傷を広げるため,注意が必要であることを示唆している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績概要で述べたように,研究目標の3/4程度はほぼ達成された.

今後の研究の推進方策

・シナリオ型地震動を鋼橋の耐震・制震設計に利用するための方法と手順をまとめる.
・鋼製またはアルミ製高機能制震ダンパーを設置したトラス構造のハイブリッド地震応答実験を実施し,東北地震(2011)でみられた連動型地震動に対する応答値,損傷過程を求め,制震設計された構造物の安全性を実験的に確認する.
・制震ダンパーを付与した橋梁の設計法のとりまとめを行う.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Evaluating the Influence of Stoppers on the Low-Cycle Fatigue Properties of High-Performance Buckling-Restrained Braces2012

    • 著者名/発表者名
      Wang, C.L., Usami, T. and Funayama, J. and Imase, F
    • 雑誌名

      Engineering Structures

      巻: Vol.41 ページ: 167-176

  • [雑誌論文] Developing High-performance Aluminum Alloy Buckling-Restrained Braces Based on Series of Low-cycle Fatigue Tests2012

    • 著者名/発表者名
      宇佐美勉
    • 雑誌名

      Earthquake Engineering & Structural Dynamics,

      巻: Vol.41 ページ: 643-661

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 繰り返し荷重を受ける鋼トラスの進行性破壊に関する実験と解析2012

    • 著者名/発表者名
      今瀬史晃
    • 雑誌名

      土木学会論文集A1

      巻: Vol.68, No.4 ページ: 713-729

    • 査読あり
  • [雑誌論文] H形鋼斜材をBRB化することによる鋼トラス構造の耐震性能向上効果2012

    • 著者名/発表者名
      舟山淳起
    • 雑誌名

      土木学会論文集A1

      巻: Vol.68, No.4 ページ: 730-747

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Low-cycle fatigue testing of extruded aluminum alloy buckling-restrained braces2012

    • 著者名/発表者名
      Wang,C.L.
    • 雑誌名

      Engineering Structures

      巻: Vol.46 ページ: 294-301

    • 査読あり
  • [学会発表] Experimental Evaluation on Seismic Performance of Steel Trusses with Different Buckling-restrained Diagonal Members2012

    • 著者名/発表者名
      Usami, T.
    • 学会等名
      Proc. the 15th World Conference on Earthquake Engineering
    • 発表場所
      Lisbon, Portugal
    • 年月日
      20120923-20120927
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi