研究課題
室内でのバッチ試験およびカラム試験の結果を踏まえ,泥岩掘削ずりを対象とした原位置におけるカラム試験を実施した。その結果,原位置カラムにおけるヒ素などの重金属類の溶出は,比較的溶出速度が速く,溶出濃度が高い成分と溶出速度が遅く,溶出濃度が低い成分とに区分できることが明らかになった。とくに,セレンは前者の易溶出性成分が多いが,ヒ素は後者の難溶出性成分も相当量存在することがわかった。また,カラム中の間隙容積で規格化した浸出水量を考慮すると,室内カラムも原位置カラムも,同様な溶出挙動を示した。このことは,降雨の頻度や強度,気温などの気象条件が異なっても,重金属類の溶出挙動は変化しないことを示唆する。すなわち,室内カラムによっても原位置の挙動を評価できることを示す。また,掘削ずりからのヒ素,セレンのずりからの総溶出量は,イオン交換態で存在する固相成分量よりも小さい量が浸出水中に含まれていた。このことは,バッチ溶出試験であっても,カラム溶出試験であってもほぼ同様の結果となった。なお,溶出したヒ素の主要形態は5価であり,溶出したセレンの形態は4価と6価とが共存した。原位置カラム試験で吸着材として使用した天然材料は,ヒ素に対しては有効であったほか,セレンに対しても若干の吸着性能を示した。以上の結果から,総溶出量はバッチ,カラムどちらの試験法からも評価できるが,その溶出速度に関しては,カラム試験での評価法が有効であると推定される。また,天然材料も対象とする元素にもよるが,比較的良好な吸着性能を示し,吸着層として有効な材料のひとつであると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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