研究課題/領域番号 |
23360204
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
日野 剛徳 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 准教授 (20295033)
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研究分担者 |
柴 錦春 佐賀大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20284614)
根上 武仁 佐賀大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (30325592)
加 瑞 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 研究機関研究員 (60598845)
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キーワード | 地盤環境工学 / 地盤防災 / 地球温暖化 / 深層混合処理工法 / 長期的強度変化 |
研究概要 |
本研究のフィールドにおいてオールコアボーリング工、シンウォールサンプリング工および地下水観測井設置工の位置決めを行い、各ボーリングを実施した。この意義は、後述する各研究の試料および計測結果を得るために重要なものとなる。 得られたオールコアを用い、地質学者による研究協力を得て土試料の塩分等に関する第四紀学的環境試験の実施と解釈を行った。この意義は、フィールドに保管されている深層混合処理工法による改良柱体打設前の初期物理化学的情報として位置付けられる。次に、シンウォールサンプリングによる粘性土の塩分・酸化還元・土質の各試験の実施と解釈を行った。また、同試料を用いてXRD分析、水銀圧入型ポロシメーターによる間隙径分布の測定および走査型電子顕微鏡観察を行った。同工法の適用に際しては、特に鋭敏性の高い粘性土地盤ほど撹拌しやすく、改良柱体の品質管理諸量が向上するとの知見(西田,1995)があり、これらの検討内容は改良柱体打設前の初期力学的情報として位置付けられる。以上の結果から、本研究のフィールドにおける深層混合処理工法打設前の地盤は強い2次的な地盤環境の変化が進み、土質特性が高鋭敏性・高圧縮性化している状況のもとで同工法が打設されていることがわかった。 次に、深層混合処理工法適用層(軟弱粘土層)の直下の砂礫層における地下水の水質、水位および流向・流速の計測を行った。また、地下水流動に関する既往の研究成果の分析と問題点の抽出を行った。これらの意義は、同工法に用いられる固化材が地盤環境の汚染に繋がる際の基礎情報および解決技術となり、重要である。これらの結果から、同地下水は塩水化こそ進行しているが、塩分組成は海水に近くセメント系固化材による影響は認められないこと、さらに、問題が生じた際の解析的検討技術はあり、本研究に適用可能なこと、などの結果が得られた。 以上の成果は種々の学会に公表し、第三者的評価を経た。これらの成果を次年度に繋げ、予定どおりの研究計画のもとで内容の深化を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の開始当初に予算の使用制限がかかり、この動向を見極あてボーリング関係工事の発注に取りかかったため、研究計画が3ヶ月ほど後半にずれた。土質試験項目の中には長期間を要するものがあり、この学術成果としての公表が一部年度内に間に合わなかった。試験結果は既に得られていたので、研究全体の進捗に何ら影響はなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果に照らし、次年度も当初の計画どおり研究を進めることができるため、問題はない。次年度もボーリング費用が大きな費用として占めるが、予算面上の安全率も考慮し確実な研究計画を立てて実施に臨む。
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