研究課題/領域番号 |
23360204
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
日野 剛徳 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 教授 (20295033)
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研究分担者 |
柴 錦春 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20284614)
根上 武仁 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30325592)
加 瑞 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 研究機関研究員 (60598845)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 深層混合処理工法 / 塩濃度 / 酸化還元環境 / 品質管理諸量 / 地盤環境 |
研究概要 |
我が国の深層混合処理工法は海岸・河川堤防下を始め、構造物の基礎として多くの実績を有している。最近、深層混合処理工法による改良柱体が塩分や酸化還元環境の変遷によりごく短期間の内に劣化する懸念が生じている。これらのことが事実なら、地球温暖化に伴う海面上昇により臨海軟弱低平地域および地下水環境への影響が懸念される今日において、海岸・河川堤防下にある多くの改良柱体は地震頻発による影響以上の危険な状態にさらされることになり、大きな社会問題と化す。さらには、このような深層混合処理工法を取り巻く状態が再び地盤環境に及ぼす影響の懸念も生じることになる。 打設直後および打設後5年経過した改良柱体の強度を比較検討した。当該改良柱体の品質は良好と考えられ、打設後5年が経過した改良柱体の一軸圧縮強さは約2倍以上に及んでいる、などのことがわかった。 深層混合処理工法の対象となる完新統とこの下位の上部更新統の間隙水における塩濃度分布の状況、ならびにいくつかの観測点における地下水流向・流速の実測値も用い、移流拡散解析を加え、同地層群における堆積環境の変化、ならびに上部更新統の砂礫層における海水浸入の可能性について検討した。完新統における塩濃度の分布状況には2つのパターンがあり、1つは地表から三角形分布を示すもの、他の1つは地表から弓状分布を示すものを見出した。解析の結果から、深さ方向の一次元移流拡散により三角形分布は形成され、弓状分布の形成には上部更新統への淡水の供給と地下水の過剰汲み上げによる影響が及んでいる可能性が示唆された、などのことがわかってきた。 マイクロ・マクロのメカニックスの視点に基づく種々の科学分析を実施した。なかでもEPMA分析については、今後の改良柱体の品質諸量の管理に際し有力な方法である可能性が示唆され、この簡便な技術化を図る必要がある、などのことがわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンウォールサンプリング(24年度分:未改良部および改良影響部の2箇所)による土試料の第四紀学的環境試験の実施と解釈に際し、平成25年に入り一部の環境試験のデータに誤りがあることが判明し、平成24年度中に再試験まで終えている。しかしながら、同結果の公表については翌年度にずれ込むことを余儀なくされ、このとりまとめを急いでる。全体的な研究の達成に向けての支障は一切生じない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の申請時点どおりの計画を平成25年度に進める。特に平成24年度までに得られている種々の知見について、審査付論文をはじめ積極的な公表に取り組む。
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