本研究ではこれまで 困難であった機械油汚染地盤の非掘削浄化に対し、浄化液A(重曹・界面活性剤水溶液)と浄化液B(酢酸・界面活性剤水溶液)を汚染地盤内に浸透させたのち発泡反応を起こすことで、小間隙内にトラップされた機械油を乳化し、大間隙へと誘導して回収する「間隙内二液反応発泡法」を考案した。この「間隙内二液反応発泡法」の物理・化学的メカニズムを定量的に把握するため、室内土槽に模擬油汚染地盤を作成し全体的な浄化の進行状況を観察するのに加え、間隙内発泡メカニズムの把握や油の残留量の分析など基礎的な実験・測定を行った。平成23年度に実施した土槽実験から、計画通り浄化効果についての検討を行った。しかしながら浄化ムラの問題が浮かび上がってきた。これに対し、平成24年度は鉛直流れ場においてある中心点からある半径の範囲をいかにムラなく浄化できるかについての土槽実験を行い、その結果、地盤内に鉛直にノズルを3つ埋設し、最上部から重曹添加界面活性剤を、中央の汚染部分から酢酸添加界面活性剤を圧入し発泡により浄化範囲が広がったのち最下部より吸引回収する方法がもっともムラなく浄化できることが確認できた。しかし、この方法の欠点は浄化範囲が限定されてしまうため浄化ユニットが多数必要となることであった。これらの解決策として平成25年度に考案したのが、重曹添加界面活性剤と酢酸添加界面活性剤を交互に圧入し、発泡反応を模擬汚染地盤内のいろいろな場所で起こし流れを常に変動させることで、ムラの低減を図る方法であった。この実験経過においてはこれまでの実験と異なり、流れの場が常に変わり水みちが固定されないことにより、油の残留領域が常に削られてゆくという浄化の進行が観察できた。このように間隙内二液反応発泡法を発展させた交互圧入発泡により油の非掘削回収における浄化ムラが低減効果できる可能性を見出した。
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