研究課題/領域番号 |
23360208
|
研究機関 | 独立行政法人港湾空港技術研究所 |
研究代表者 |
渡部 要一 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, 研究領域長 (00371758)
|
研究分担者 |
佐々 真志 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (10392979)
中田 幸男 山口大学, 理工学研究科, 教授 (90274183)
山田 文彦 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60264280)
椋木 俊文 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (30423651)
|
キーワード | 地盤定数 / サンゴ礫 / せん断 / 圧密 / 個別要素法 |
研究概要 |
サンゴ礫混じり土は,フィンガーコーラルに代表されるサンゴ礫が,シルト質からなるマトリックスの中に多量に介在した土である.まず,実際の堆積状態を把握するために,サンゴ礫混じり土が堆積する干潟にて,多チャンネル型表面波探査(MASW)を実施した.その結果,サンゴ礫混じり土を含む干潟地盤のせん断波速度構造は,珊瑚礁の痕跡である石灰岩層の不陸に対応した複雑なものであることが捉えられた.これにより,MASWによりサンゴ礫混じり土が厚く堆積した地点を推定し,そこでボーリング・サンプリング調査を実施すれば,効率的な地盤調査ができることがわかった.また,MASWによるせん断波速度分布は,離れた地点のボーリング柱状図から地層区分線を描く際の空間情報として役立てられることもわかった.サンプリングにより採取したサンゴ礫混じり土の内部骨格および試験室にてサンゴ礫とシルトとを混合した人工サンゴ礫混じり土について,CTスキャナによる内部骨格を観察した.その結果,フィンガーコーラルからなる礫片が多数存在する場合には,一般的な粘性土に対するサンプリング方法ではサンゴ礫が刃先に接触して周辺を乱すことから,乱さない試料の採取は不可能であることもわかった.サンゴ礫やシルトについて,鉱物組成を調べたところ,当該地点のサンゴ礫混じり土は,シリカ鉱物を含まず,シルトの部分についてもサンゴが粉砕されたものであることが特徴的であった.一方,サンゴ礫については,整形後に圧裂試験を実施し,載荷圧力と圧縮量の関係を得るとともに,これについて,個別要素法によるある程度のモデル化に成功した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の調査内容が遅れたため,研究進展に若干の遅れがあり,一部予算を繰越した経緯があるものの,研究成果としては,当初予定していた以上の成果を得られており,概ね順調であると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
サンゴ礫混じり土の力学挙動について,本格的な室内試験の実施を通じて,本研究の主目的である地盤定数の設定といった実務に結びつく成果を得ることに努めたい.また,サンゴ礫混じり土の研究について,想定していた以上に興味深い成果も得られており,成果の公表について論文発表等を積極的に行いたいと考えている.
|