研究課題/領域番号 |
23360208
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研究機関 | 独立行政法人港湾空港技術研究所 |
研究代表者 |
渡部 要一 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, 研究領域長 (00371758)
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研究分担者 |
佐々 真志 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, 研究チームリーダー (10392979)
椋木 俊文 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (30423651)
山田 文彦 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60264280)
中田 幸男 山口大学, 理工学研究科, 教授 (90274183)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | サンゴ礫混じり土 / 地盤定数 / せん断 / 三軸試験 / 個別要素法 / 粒子破砕 |
研究概要 |
サンゴ礫混じり土は,フィンガーコーラルに代表されるサンゴ礫が,シルト質からなるマトリックスの中に介在した土である.サンゴ礫が少なければシルトが支配的な力学挙動となり,サンゴ礫が多くなるとシルトとサンゴ礫との複合的な力学挙動を示すものと考えられる.本研究では,サンゴ礫含有率を種々変化させた再構成試料ならびに原位置から採取した不攪乱試料を用いて,一連の三軸試験(CU-bar試験およびCD試験)を実施し,サンゴ礫混じり土の力学特性として,シルトとサンゴ礫の複合材としての挙動がサンゴ礫含有率等の変化とともにどのように変化するかを調べた.また,せん断前後の試料の内部構造をCTスキャナを用いた観察結果を通じて,せん断挙動に与えるサンゴ礫骨格の影響を考察した.試験に用いたサンゴ礫を用いた再構成試料の場合,サンゴ礫の体積百分率が20%以下ではマトリックスを形成するシルト質土が力学挙動を支配し,サンゴ礫の体積百分率が20%以上になるとサンゴ礫同士が接触するようになり,せん断に伴って,サンゴ礫の噛み合いに起因するダイレーションと破砕の影響がせん断特性を支配するようになることがわかった.著しいダイレーションを伴う試料の場合,非排水条件でせん断すると非現実的に大きな負圧が発生し,これに起因した高いせん断強さが得られることがあり注意を要する.一方,不攪乱試料の場合,定性的には同様の傾向が見られるものの,サンゴ礫の不均質な混入状況や粒子寸法により,不攪乱試料で得られた定量的な傾向を直接適用できないため,設計に用いる強度定数の設定に当たっては,さらなる検討が必要になることがわかった.この他,サンゴ礫骨格の破砕性に着目し,個別要素法を駆使した数値解析による検討も実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
興味深い結果が得られたことに伴い追加試験を実施したこと,個別要素法による解析に要する演算時間が長いことなどにより,計画した研究の終了がやや遅れてしまった面は否定できないが,当初研究目的を達成することはできたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
再構成試料と不攪乱試料で共通した定性的傾向が見られたが,これを定量的に説明するには至っていない.不攪乱試料の力学挙動を支配するパラメータを見出すため,多様な不攪乱試料を入手し,さらなる試験を実施して,結果を再評価する予定である.また,個別要素法を駆使した粒子破砕の影響の把握については,サンゴ礫粒子配置の初期条件の影響に着目した検討を実施する予定である.
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