研究課題/領域番号 |
23360210
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
坂本 康 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80126648)
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研究分担者 |
西田 継 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (70293438)
森 一博 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (90294040)
石平 博 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (80293439)
田中 靖浩 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (50377587)
原本 英司 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (00401141)
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キーワード | 水文学 / 水質水文学 |
研究概要 |
本研究課題は、水文循環の変化が水源の安全性に与える影響を予測するために必要な微生物水文学手法の開発を目的とする。平成23年度の追加採択課題であることから、12月からの4ヶ月間に、方法論の検討を目的とした予備的研究を実施した。その結果、下記の実績を得た。 1.降雨時の病原微生物流出機構の解析 ・微生物検出法最適化の目的で、新たに考案した陰電荷膜破砕型濃縮法の濃縮操作条件を検討し、水系感染症に関与する主要な3種類の病原微生物(ウイルス、原虫、細菌)の同時濃縮・検出を可能とした。 ・微生物流出解析に使うモデルの作成のために、対象地域について、高解像度数値地形情報に基づく擬河道網の作成、長期の水文・気象データの収集などの基盤情報の整備を行った。 2.地下水微生物汚染の同位体水文学・水質統計学的解析 ・一般水質と同位体による地下水水文解析により、d値を用いた地下水涵養解析の有効性、Nの同位体と水の同位体を合わせて使う手法の有効性を示した。 ・地下水微生物汚染解析では、下水流入の影響を解析する手法を提案した。 3.自然由来と人間由来の判別に役立つ微生物指標の開発 (1)植物にとっての病原微生物の動態解析による森林・農地の微生物負荷の特性の解析 ・病原微生物の動態解析では、河川水試料から効率良くDNAを抽出できる方法の選定を試み、化学的溶菌法に基づいたDNA抽出試薬であるCellEaseの使用が効果的であることを見出した。 (2)水の移流を伴う様々な植生系における微生物動態の解析 ・水耕栽培植生系の微生物動態の解析では、水生植物4種(ヨシ、ミソハギ、キショウブ、ホタルイ)の根圏微生物群集の解析を行い、すべての植物間で根圏に生息する微生物の群集構造が異なることを明らかにするとともに、それらの多くは系統的に新規な微生物で構成されることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付内定からの実質の研究期間は4ヶ月と短かったものの、研究対象としている3つの分野それぞれにおいて、次年度以降の本格的な研究の展開に必要となる基礎的な知見を得ることができた。このことから、当初の計画通りに、おおむね順調に研究を推進することができたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、今年度に実施した基礎的な研究で得た知見を最大限に活用し、3つの研究分野(降雨時の病原微生物流出機構の解析、地下水微生物汚染の同位体水文学・水質統計学的解析、自然由来と人間由来の判別に役立つ微生物指標の開発)に関する研究を本格的に開始する。なお、平成23年度は研究期間が短かったため、他の研究課題の計画を変更することで、本課題の成果を得るための時間を捻出した。したがって、平成25年度は他の課題等との調整のために本課題の計画を一部変更する可能性はある。
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