研究課題
本研究では、水文循環の変化が水源の安全性に与える影響を予測するために必要な微生物水文学手法の開発を最終目的として、平成25年度は下記を行い、病原微生物解析と水文解析を融合する手法の可能性を示す成果を得た。1. 降雨時の病原微生物流出機構の解析(担当:西田、石平、原本):水道水源河川水で、大腸菌や嫌気性芽胞菌等の指標微生物を多くの試料で検出し、これらの濃度変動への降水の影響を明らかにした。また、病原ウイルスは、これらとは異なり明確な濃度変動がないことを確認した。さらに、新たにマルチスケールの分布型流出モデルを構築し、富士川、ネパールカトマンズ盆地の河川においてその有効性を確認した。これにより、流域源頭部の小渓流から下流域の本川までの様々なスケールにおける流出現象の再現を可能にした。2. 地下水微生物汚染の同位体水文学・水質統計学的解析(担当:坂本、西田、原本):複数年継続した調査結果を総合・整理し、糞便汚染指標微生物、安定同位体比、溶存化学成分等の多角的指標により、浸透現象と地下水微生物汚染との関係の解析ができることを示した。3. 自然由来と人間由来の流出の判別に役立つ微生物指標の開発(担当:森、田中)1)森林・農地の微生物負荷特性の解析(担当:田中):渓流河川水から抽出したDNAをターゲットとし、PCR法により、農地からの流出の指標となりうるモモの植物病原菌の一種を検出した。また、細菌の遺伝子レベルの特徴と硝酸イオンの同位体比との関係を見出した。2)植生系根圏における微生物動態の解析(担当:森):ウキクサを対象に、葉圏と根圏の微生物解析を行い、根圏と葉圏では微生物群集が異なること、葉圏にも根圏と同様に分解菌が生息することなど、流出解析に役立つ植物関連微生物の特徴を明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Water, Air, & Soil Pollution
巻: 225 ページ: 1928
RSC Advances
巻: 4 ページ: 1616-1621