研究課題/領域番号 |
23360212
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
道奥 康治 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40127303)
|
研究分担者 |
前野 詩朗 岡山大学, その他の研究科, 教授 (20157150)
宮本 仁志 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50283867)
神田 佳一 明石工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60214722)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 河道内樹林 / 抗力係数 / 樹木生長 / 樹木倒伏 / 模型ヘリ空撮 / 画像解析 / 維持管理 / 数値解析 |
研究概要 |
加古川における研究対象区間では,試験的切り下げを実施した高水敷においてヤナギの幼木の再繁茂が確認され始めたため,その成長・損壊特性を調査した.ラジコン・ヘリFalconを用いた河道植生の撮影とその画像解析によって植物の高さ計測の精度を検証した.Falconによる流速観測も実施したが,水文・気象条件が整わず,流動構造を正確にとらえることはできなかったため,次年度に継続する予定である.H-ADCPに加えて,樹林帯内に電磁流速計と水位計を設置して出水データの収集を試みたが,高水敷の冠水をもたらす出水が発生せずに,次年度に樹林帯内の水理計測を継続する.一方,ヤナギが護岸水際に生息する傾向があることに着目して,台形複断面水路に植生モデルを設置した水理模型実験を実施し,流速分布を測定した.流速分布と水位については,一次元等流モデルによる数値解と比較し,分布特性を理論的に再現できる目処が得られた.しかし,模型の縮尺効果により,植生の抗力係数を現地よりも大きく設定する必要があることから,抗力係数におよぼすレイノルズ数の効果を次年度に確認する予定である.さらに,二次元二層流モデルによって,模型実験を再現するとともに,樹林のマニング粗度係数換算値が流量規模によらず一定であることが判明し,実験的にもこれを検証する予定である.植生動態モデルに関しては,現地データに基づいて,特に季別の成長度を組み入れたモデル化によりヤナギの消長再現精度を向上させた.他の植生繁茂区間についても樹林観測を実施し,水文・河川地形と樹林消長との関係を明らかにした.旭川の研究対象区間においてもヤナギに限定せずに,植生調査を実施し,成長特性と洪水時の流亡に関する現地データを収集した.加古川・旭川の観測資料に基づいて,植生と河川水理の相互作用に関する普遍則を考察する準備が整った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
設備備品として購入したFALCONにより,樹林の密度・高さの計測が可能であることを確認した他,流速計測にも応用できる目処が立った.二次元二層流モデルにより,樹林の抗力係数をマニングの粗度係数に換算すると一定値として取り扱うことができるという,河川管理上,きわめて重要な知見を得ることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には,初年度に計画した方向で研究が進んでおり,計画に大きな変更はないが,2012年度に顕著な出水がなく,予定していた樹林帯内の流速計測を実現することはできなかった.この点については水理模型実験で補足する可能性がある.また,動的計画の手法を用いて樹林の伐採管理についても検討する予定である.最終的にはエコロジーとハイドロダイナミクスを融合した河道内樹林の最適管理戦略を提言することを目標としている.
|