研究課題/領域番号 |
23360220
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中村 文彦 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 教授 (70217892)
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研究分担者 |
岡村 敏之 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (90314781)
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キーワード | BRT / シミュレーションモデル / 都市交通戦略 |
研究概要 |
本年度は、インテリジェントBRTの設計の基本要件を明らかにすること、都市交通戦略立案サイドからのシステム評価ニーズを明らかにすること、シミュレーションモデルを試作すること、の3つの課題を設定した。一点目については、当初予定していたジャカルタのBRTシステム及びバンコクのBRTシステムについては、別途十分な情報を入手できたため、現地調査は行わず、一方で最新の情報が不足していたブラジルのクリチバ市、コロンビアのボゴタ市、米国のシアトル市での集中的な調査を実施した。さらに資料入手が可能な大韓民国ソウル市を加え、基本要件として、交差点信号制御の工夫、バスステーション乗降客数を加えること、途中駅を通過する急行運転を組み合わせられること、車両や運転士の配置方法や雇用体系との連携、燃料補充方法などに配慮すること、防災及び犯罪問題への対応能力を組み込むべきこと、要素の組み合わせ効果は例えばボゴタでの乗降客数管理と急行運転管理の連携のようにすでに実績があること等を現地調査及び資料調査で明らかにした。二点目については、調査都市候補について精査した上で、金沢、新潟、富山、松山での総合交通戦略事例、米国のサンフランシスコ、シアトル、ポートランド、ドイツのフライブルク、フランスのリヨン、コロンビアのボゴタを取り上げた。交通手段分担率、地球環境への影響、モビリティの確保、都心のアクセシビリティ等の評価指標の組み込み方、長期目標と短期目標の組み合わせ方などを評価に盛り込むことの必要性を確認した。三点目のシミュレーション試作については、都心郊外直結路線のミクロモデルを、購入したVISSIMをベースに試作した。マクロモデルについては、表計算ソフトを用い、道路条件及び需要条件に基づいて運行費用を計算できるものを試作し、次年度に予定しているシミュレーションモデルのブラッシュアップのための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計要件を明らかにするための海外事例調査、都市交通戦略事例の調査については、当初の計画以上に多くの事例から、しかもより深い視点まで踏み込むことができたため(1)の評価に該当するといえる。シミュレーションの試作については、枠組みを整理できたが、詳細部分を詰めていく作業が若干残っており、ほぼ(2)に近いレベルと言える。以上を総合して(2)と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
BRT事例の増加、既存のBRT事例でのシステム改善がすさまじい勢いで進行しており、研究成果がより有用かつ先進的である必要性から、事例の追跡調査を継続するものの,試作したシミュレーションモデルの枠組みをもとに、インテリジェントな要素を含むことができ、かつ、開発途上国での適用も含め実用的な面を持ち続けられるような方向で、研究を推進していく。研究計画の変更などは行わない。
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