本年度は、平成23年度及び平成24年度の研究成果をもとに、システムの高度化のためのさらなる検討と、有用性の確認を行うことを目標とした。具体的には、車庫位置、交通規制、車両運用、運賃収受方法、運転士配車割当方法、運転士給与査定基準等の要素を組み込む考え方について、実際のBRT先進事例での工夫例を参考に整理した。特に交通規制、車両運用、運転士給与方式に着目した。バス優先信号制御の工夫効果分析および、複数のバス車両を隊列にして運行させるバスコンボイ運行方式の効果分析を行い、評価モデルへの組み込みを検討した。運転士給与方式については、乗客が多いほど自己収入が増える仕組みを見直す方策について検討した。優先信号制御については、BRTの先進事例として知られるソウル市をケースに、バス停での停車時間を考慮した優先信号制御の有用性を明らかにした。バスコンボイ方式については、3台のバス車両を隊列させて運行することにより、交差方向道路への影響を減らしつつバスの輸送能力を向上させる可能性があることを、わが国の都市部BRT事例の先駆例として知られる、名古屋市の基幹バス新出来町線の現況データをもとに明らかにした。運転士給与査定については、BRT計画が進行中のラオスのビエンチャン市を対象に、給与方式と運転士の運転特性の関連を明らかにし、多くの運転士が乗客獲得のためバス停以外でも停車を繰り返し、バスの速度低下を招いている実態を示した。改善策についての小規模実験を行い、給与方式を評価モデルに組み込む課題を整理した。 以上の成果をもとに、情報通信技術を組み込んだ高速輸送のバスシステムとしてのインテリジェントBRTの導入評価のためのモデル構造をとりまとめた。
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