研究概要 |
研究所年度である本年度においては,以下の検討を進めた. (1)災害発生時の道路問題および道路に求められる性能の整理 過去の災害に関する新聞記事,報告書,雑誌論文などを対象とし,災害発生時に起こった道路問題や,道路に求められる性能について整理を行った. (2)信頼性脆弱性解析手法および防災経済評価手法に関する研究動向把握 ロバスト道路ネットワーク構築に寄与する解析手法として,道路ネットワーク信頼性解析手法および脆弱性解析手法に関する最新動向について国内外の文献調査を行った. (3)接続脆弱性指標の地域耐災性評価指標への拡張 現在提案されている接続脆弱性指標は,地点間の接続の強さを非重複経路数で評価する考え方であるが,災害発生に対する道路ネットワークの耐災性を議論するためには,たとえば脆弱な地域の住民の人口や災害発生による道路途絶による不便の程度など,地域を評価する指標へと拡張する必要がある.地域耐災性評価指標の検討を行い,その計算アルゴリズムを検討した. (4)脆弱性概念の経済的意味づけ検討 脆弱性の概念は,最悪ケースを考えるということで,いわゆる期待便益ベースのアプローチとは一線を画す.経済学分野において発展してきた理論と本研究で提案している方法論との関係性を見いだすべく文献調査を行い,経済学的意味づけに関する検討を加えた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は研究計画通り順調に推移しており,今後も計画に従いすすめていく.平成24年度には,脆弱性概念を用いた政策評価の方法論について検討を加えると共に,数理計画モデルの検討および計算のためのデータ収集を行う.また,平成25年度には,岐阜ネットワークを対象とした計算を実施し,結果の検証を行う予定である.
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