研究概要 |
本研究は,一般街路区間を走行する全車両の走行軌跡及びCO2排出量をビル高所からの複数ビデオ観測などにより観測・データ化し,時空間上の加減速挙動やCO2排出量の特性を明らかにするとともに,交通流シミュレーションを用いたCO2排出量推計手法の評価及びモデル間比較分析により,その妥当性を明らかにすることを目的とする. 平成23年度は,現地観測調査の場所選定及び詳細調査計画の立案を行い,調査を実施するとともに,ビデオ画像から車両走行軌跡を読み取り,試行的に車両走行軌跡のデータ化を行った. 調査対象箇所は,1km程度の複数車線を有する交通量の多い都市部の区間について,対象区間を全域にわたって見通すことのできる高層ビルを複数確保できることを条件として,外堀通り(虎ノ門交差点~新橋交差点,約1.1km)を選定した. 調査は,当該区間の両端に位置する2つの高層ビルにビデオ4台ずつ,計8台を設置し,当該区間を完全にカバーできるようにビデオ観測を行った.また,燃料噴射量も計測可能なGPSデータロガーを装着した実験車5台によるプローブ調査により,5分に1台の頻度で走行軌跡のデータを得た.別途,信号制御データについても観測した.併せて,ビデオ設置位置の測量調査も行った.調査は11/22及び12/2の2日間,朝9:00~12:00に行った.別途,専門業者に依頼し,調査対象区間についてレーザースキャン技術を用いた精密測量を行った.このような1km程度の比較的長い区間について全車両を高精度で捕捉できるような大規模な観測を行ったのは,一般道では過去に例がなく,非常に貴重な観測データが得られた. これらの調査データについて,試行的に5分間程度を選定しビデオ画像からの車両軌跡の読み取りを行い,実画像への射影変換により実座標上の車両軌跡に変換できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は現地観測調査を成功させることが最低限のラインであり,なおかつビデオ画像からの車両軌跡読み取りに着手するとともに,射影変換による実座標での軌跡導出を行えるようにするところまでを本年度の到達目標としている.若干軌跡読み取りに手間取っており,想定より遅れている部分もあるが,現地観測調査は成功裏に終了しており,概ね順調に進展していると評価して良いと考える.
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今後の研究の推進方策 |
車両軌跡読み取りが想定以上に作業工数のかかることが判明し,読み取り作業の効率化に向けて改善の余地がある.同一地点を複数のビデオで撮影しており,実験車の車両軌跡等との比較に基づきデータの精度を検討した上,読み取り作業を効率化し,より多くの車両軌跡のデータ化を行う予定である.その他の点については概ね計画通り進捗していることから,当初計画に従い,平成24,25年度の研究を進めたいと考えている.
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