研究課題/領域番号 |
23360229
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐々木 葉 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00220351)
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研究分担者 |
岡田 智秀 日本大学, 理工学部, 准教授 (10307796)
平野 勝也 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00271883)
山口 敬太 京都大学, 工学系研究科, 助教 (80565531)
山田 圭二郎 京都大学, 工学系研究科, 准教授 (00303850)
佐々木 邦明 山梨大学, 工学系研究科, 准教授 (30242837)
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キーワード | 景観 / 地域計画 / まちづくり / 地域認識 / 景観モデル / 移動風景 / 景観計画 / 可視化 |
研究概要 |
景観法の制定以降、景観計画の策定が続いているが、一定規模以上の建築物等を届け出対象としてその色彩・高さに制限をするという結局は個別要素のコントロールに帰着している傾向もみられる。社会情勢の変化を受けた持続的な地域計画に資する地域景観形成の理論と手法を目指す本研究では、より一層、地域景観どいう概念、地域計画において景観を議論することの意味、その際の景観の記述方法についての議論を深めた。具体的には学会等とも連携した公開研究会として、「景観研究を悩む(2011/8/4)、「景観計画を実践する」(2011/10/29)、「地域景観研究の思想と方法論」(2012/1/13)、「景観研究の方法論に関する研究講演会」(2012/2/27)などを開催し、地域そのものの概念の変化とそこでの社会活動の表出としての景観の対応関係への認識を再確認した理論と手法の構築の重要性を明らかにした。 一方具体的なフィールドにおける景観の実態と人々のそれへの認識の関係把握を進めた。岐阜県恵那市岩村では、田園風景および祭りなどの文化行事が継承されているように見えるが、子どもと大人ではそれらへの認識が大きく異なる点が明らかになり、単に環境としての資源の保存継承だけでは不十分であること、また絵図などの表現媒体単体での記述の限界が示唆された。その他横浜や本庄を対象とした地域認識調査からも、主体によって異なる認識構造の複数のモデルが抽出された。また地域認識に関わる移動体験に対しては、その印象を体験主体自身が記述することの困難性が写真投影法の適用などから示され、実験方法自体の工夫が求められた。 以上のように地域計画に資する景観計画の理論と手法の具体的検討を進める際に必須となる課題と着眼点が具体的に確認できたとともに、多種多様な地域認識を貫通するような共有可能性をもつ景観像の記述の重要性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域景観の理論については定期的な研究会を開催して成果を得ている。また具体的なフィールドにおける調査は、岐阜県恵那市他、横浜、本庄、東京都内、奈良などでそれぞれ進めており、地域景観に関わる主体の認識と物理的空間特性の両面から具体的なデータが蓄積されている。地域認識の把握手法に対しては実験法の高度化を進め、ツーリズムデザインの準備として明知鉄道を対象とした情報発信ウェブサイトを立ち上げた。
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今後の研究の推進方策 |
主体の多種多様な地域の認識やそれに基づいた要望等、本研究の対象事象のダイナミックさを損ねることなく記述する手法を模索することが重要な課題であり、そのための調査実験方法の見直しを行う。また研究実践活動情報を一般に発信し、それに対する多様な反応をフィードバックした双方向的実態調査を試み、その過程において絵図をはじめとした地域特性表現媒体の特質が結果に与える影響を観察することを試みるなど、従来の実験条件を固定した方法にとどまらないアプローチを工夫し、目的とする成果を達成する。同時に、地域景観把握モデルのための議論と広範な研究の参照を進める。
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