研究課題/領域番号 |
23360231
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大下 和徹 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90346081)
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研究分担者 |
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252485)
神田 英輝 (財)電力中央研究所, エネルギー技術研究所, 主任研究員 (90371624)
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キーワード | 液化ジメチルエーテル / 畜産廃棄物 / 家畜糞尿 / 脱水 / 乾燥 / 燃料化 / 抽出 / 結合水 |
研究概要 |
発生量の大部分が堆肥化され、畜産の盛んな地域では過剰供給となっている家畜糞の有効なエネルギー利用の方法が注目されている。本研究では、液化DMEを用いた家畜糞尿の脱水・乾燥プロセスを構築し、固形燃料として利用できる乾燥物を得ることを念頭に、牛糞の脱水・乾燥特性を把握するとともに、脱水に関わる主要因子を明らかにすることを目的とした。 牛糞を粒径4.8mmに成型し、常温下、液化DME線速度0.38nm/hの条件で、液化DMEと含水率約80%の牛糞を接触させた結果、60分で脱水率88%、含水率34%となり、120分では脱水率98%、含水率は6%まで下げることが可能であった。また、組成の近い下水汚泥を同条件で脱水して比較した結果、最終的にはどちらもほぼ完全に脱水されるが、60min経過時点の脱水率では牛糞88%、下水汚泥81%であり、牛糞は下水汚泥よりも脱水性が高いことが分かった。 さらに、DSC(示差走査熱量計)を用いて、液化DMEによる脱水段階毎の自由水量と結合水量:本研究では-30℃で凍結しない水分と定義、を測定し、脱水挙動を調査した。この結果、牛糞では元々の結合水含有率が0.41[g/g-ds]であり、この結合水は、液化DMEにより、自由水がほぼすべて脱水されたのちに、脱水されることが明らかとなった。 また、下水汚泥の結合水含有率は0.75[g/g-ds]と、牛糞より高く、下水汚泥と牛糞の脱水速度の差の一因と考えられた。また、脱水速度に影響するもう一つの要因として脱水に伴う試料の収縮が考えられ、牛糞では体積比で90%前後までしか収縮が起こらないのに対し、下水汚泥では体積比55程度まで収縮した。すなわち、牛糞の方が脱水が進行してもDMEと接触する表面積が保たれるため、下水汚泥に比較して脱水速度が速いものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度実施予定であった、(1)家畜糞尿の基礎物性や発生量の把握、(2)液化DMEによる家畜糞尿の脱水・乾燥特性の把握、(3)液化DMEによる家畜糞尿中の水分抽出メカニズムの解明とモデリングについては、当初予定より早く進行している。一方、(4)乾燥物(バイオマス燃料)、タール、排水の性状の把握、(5)液化DMEの回収・再利用性の把握、(6)動物用医薬品の挙動把握については、少し予定より遅れており、平成24年度において優先的に研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
今後、少し研究が遅れている、(4)乾燥物(バイオマス燃料)、タール、排水の性状の把握、(5)液化DMEの回収・再利用性の把握、(6)動物用医薬品の挙動把握を中心に、鋭意研究を進める。特に動物医薬品の挙動把握については、分析方法を早急に確立する。研究発表についても、平成23年度に得られた成果を中心に平成24年度中にとりまとめ、論文投稿、学会発表を実施する。
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