研究課題
下水処理場から採取した嫌気性消化汚泥を植種源に用い、常温(約23度)でテトラメチルアンモニウム(TMAH)とイソプロピルアルコール(IPA)をそれぞれ唯一の炭素限としたバイオリアクターを立ち上げた。これらを分解する微生物は嫌気性消化汚泥中に極めてわずかしか存在していなかったが、いずれのリアクターでも約10日程度で急激な基質の分解が確認された。Fill & drawの連続運転に移行後、1年以上に亘って4 gVSS/L程度の汚泥濃度で従来の活性汚泥システムと同程度の反応速度(1-3 kgCOD/m3/d)が安定的に得られた。そのため、嫌気性微生物を用いた排水処理において今まで必須と考えられていた中温(35度)の条件でなくとも実用的なスピードでこれらを含む電子産業排水を処理できると予想された。これら馴養した汚泥を用いて基質の分解と中間生成物を回分条件で定量し、微生物の代謝経路と各段階の反応速度式を求めた。TMAHの嫌気分解は、メチル基が外れて順にトリメチルアミン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、アンモニアになり、各段階でメタノールが生成すると仮定した反応モデルで回分条件の応答を説明することができた。この一連の律速は、TMAHからの脱メチル基反応であった。一方のIPAの嫌気分解は、IPAからアセトンと水素の生成、アセトンから酢酸と水素が生成する標準生成自由熱エネルギー変化がプラスになりやすい2段階を経て、酢酸と水素からメタンが生成する反応であることがわかった。水素資化性メタン生成古細菌が充分な馴養汚泥においては、系内に存在する水素の濃度は1ppm程度であり、水素阻害の無い状態でIPAを分解することができた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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