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2011 年度 実績報告書

新築・既存・被災RC造建物の耐震性能評価法の統合と高精度化

研究課題

研究課題/領域番号 23360238
研究機関東北大学

研究代表者

前田 匡樹  東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30262413)

研究分担者 迫田 丈治  東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70455806)
キーワードRC造建築構造物 / 耐震性能 / 評価法の高精度化 / 既存建物 / 新築建物 / 被災建物 / 評価法の統合
研究概要

(1)耐力低下する部材の耐力低下挙動の解明、および、(2)耐力低下部材を含む架構の挙動解析
平成23年度に鉄筋コンクリート造架構の加力実験を行った。その結果に基づき、部材の軸耐力の低下を模擬できる理論モデルを開発した。また、軸耐力の低下を解析するための解析アルゴリズムを開発した。これらを用いて骨組の静的増分解析を行った結果、実験結果の荷重-変形関係と良好な対応を示し、建物が軸崩壊に至る挙動を静的解析で追跡することが可能となった。
(3)部材の損傷量と残存耐震性能の評価
部材の損傷量モデルの高精度化を行い、軸力比やせん断スパン比をパラメータとして精度良く損傷量を解析することが可能になった。また、損傷量と残存耐震性能の関係を、過去に行った高強度コンクリートを用いた柱実験結果に基づいて検討を行った。その結果、柱に生じる残留ひび割れ幅と「部材の」残存耐震性能は、高強度コンクリートを用いた場合でも良好に対応することが分かった。また、これまでは特定の崩壊形の建物を前提に「架構の」残存耐震性能を評価する手法が開発され、その他の崩壊形の建物にも準用する形で利用されてきたが、さまざまな崩壊形の建物に適用可能な残存耐震性能評価法を開発した。
(4)部材の損傷量と残存性能に基づく架構の修復限界及び安全限界の評価法の提案
これまで、架構の修復限界は部材損傷に基づいた残存耐震性能から評価されており、修復費用などの経済的な要因が考慮されていなかったが、本研究では架構の修復限界を、構造部材の損傷量だけでなく非構造部材に生じる損傷や建物のライフサイクルコストなどを考慮して評価する手法の提案を行った。安全限界は等価線形化法や(1)(2)で提案した手法を用いて建物が崩壊する変形を求めることが可能となったため、個々の建物については建物が崩壊に至らない限界、すなわち安全限界を評価することが可能となっている

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

耐力低下する部材および架構の挙動解析については、静的解析プログラムを作成し実験結果の解析ができる状態になった。部材の損傷量について既往の評価モデルを改良し、また、残存耐震性能評価法を開発し、さまざまな崩壊形に適用できる可能性を示した。架構の修復・安全限界の評価法についても、上記の成果をもとに検討を行っており、全体として順調に研究が進展している。

今後の研究の推進方策

現在までのところ、研究を遂行する上での大きな問題点はなく、これまでの研究計画通り推進していくことで問題はないと考えている。架構の実験については、昨年度に1層2スパン架構実験を実施し、作成した分力計により、柱・梁部材の軸力およびせん断力をおおむね精度良く測定できることが確認できた。したがって、今年度は、2層の架構試験体を作成して多層骨組みの実験を行いデータを収集する。
このデータを用いて、架構の残存耐震性能評価法、修復限界・安全限界評価法の検証・改良および高精度化を行っていく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 曲げ柱とせん断柱が混在する鉄筋コンクリート造架構の崩壊変形角推定に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      松川和人, 前田匡樹, 三浦耕太, 高橋香菜子
    • 雑誌名

      構造工学論文集

      巻: Vol.58B ページ: 25-32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 架構耐震性能に及ぼす部材の影響度に基づいた被災建物の残存耐震性能評価法と破壊モード混在型建物への拡張2011

    • 著者名/発表者名
      三浦耕太、松川和人、前田匡樹
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: Vol33.No2 ページ: 901-906

    • 査読あり
  • [雑誌論文] RC造建物の耐震修復性及び修復限界状態の評価を目的とした損傷量指標の提案と建物モデルへの適用例2011

    • 著者名/発表者名
      青木貴、前田匡樹
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: Vol33.No2 ページ: 913-918

    • 査読あり
  • [学会発表] RC造曲げ降伏型建物の残存耐震性能に及ぼす各部位の影響度評価法その1部材のエネルギー吸収量を考慮した影響度評価の基本概念2011

    • 著者名/発表者名
      前田匡樹
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011-08-24
  • [学会発表] RC造曲げ降伏型建物の残存耐震性能に及ぼす各部位の影響度評価法その2部材剛比によるエネルギー吸収量の推定に基づく評価法2011

    • 著者名/発表者名
      三浦耕太
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011-08-24
  • [学会発表] 鉄筋コンクリート造建物の修復性能評価を目的とした損傷量指標の提案と建物モデルへの適用例2011

    • 著者名/発表者名
      青木貴
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011-08-24

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公開日: 2013-06-26  

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