研究課題/領域番号 |
23360239
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 範夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50250725)
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研究分担者 |
五十子 幸樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20521983)
池永 昌容 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50552402)
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キーワード | 変位制御設計 / 免震構造 / 地震入力レベル / ダンパー / 振動実験 |
研究概要 |
本年度は4項目に関する解析的、実験的検討を予定していた。以下に項目別の研究成果を示す。 1.最適設計手法による地震動入力レベルに対応した変位制御設計の予備的検討 転がり支承免震建物を対象に、地震動入力レベルをレベル1、2、3の3つに分け、それぞれのレベルに対して設計クライテリアを設けて、その設計クライテリアを満たすような免震層用ダンパーを設計するための手法として、逐次二次計画法に基づく最適設計手法を利用した。ダンパーとしては、提案している磁気粘性流体ダンパー、性能可変オイルダンパー、連結機構摩擦ダンパーについてそれぞれ検討し、その結果それぞれのダンパーにおいて、設計クライテリアを満たすことができる設計が可能であることを示した。 2.ダンパーの設計と制作 磁気粘性流体ダンパーによる、新しい変位制御設計用の履歴制御則を数値解析で検討した。その結果、理想的な変位制御のための履歴制御則を明らかにした。ただし、リアルタイムでのセミアクティブ制御における実用上の問題点が未だ残されており、今後この問題を解決するための手法を検討・開発し、振動実験で明らかにする。 3.ダンパーの単体加振実験 新たに制作した大ストロークに対応した性能可変オイルダンパーの性能確認実験を実施した。その結果、所定の性能を有すること、性能可変における挙動を数値解析で追跡できることを明らかにした。 4.転がり支承を有する1層免震建物の挙動把握 本年度新たに製作した、転がり支承免震層の特性把握実験を実施した。静的加力実験による免震層剛性の確認と、振動実験による動的挙動、固有周期等の確認の結果、所定の性能を試験体が有すること、また数値解析結果と実験結果とが一致することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダンパー製作において検討項目が想定よりも増えたため、ダンパー製作時期が若干遅れているものの、予定している数値解析による検討は順調に進んでおり、平成24年度に実験的検討を進めることが可能である。また、数値解析による検討において、想定通りの変位制御設計における良好な結果が得られつつあり、以上を考慮した結果、概ね良好に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、各種ダンパーの製作とその振動実験を計画しており、ダンパーについては既に一部発注済みである。ダンパーが完成し次第、順次振動実験を行い、その性能把握および変位制御効果を検討し、ダンパー性能の修正が必要な場合には早急にダンパーの改造を検討していく。また、振動実験と並行して、数値解析による変位制御設計の設計手法の検討を進めていく。 平成25年度には、振動実験結果をまとめるとともに、実験結果と数値解析結果を併せて検討し、変位制御設計の実現性、またその具体的な設計手法を確立していく。
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