研究課題
最終年度として、実施してきた研究を総合的にまとめて評価を行った。本研究では、免震層の応答変位に対応してダンパーの減衰特性を可変させ、地震入力レベルに応じてきめ細かな免震設計ができることを明らかにし、「免震建物の変位制御設計」の妥当性を示すことが出来た。さらに、この考え方を実現するために、いくつかのダンパーを開発・改良し、振動実験によりダンパー特性を明らかにするとともに、鉄骨造縮小免震試験体に設置して、免震構造物への適用の効果を示した。さらに、実大の建物にこれらのダンパーを設置して、上部建物の応答加速度をあまり大きくせずに免震層変位を小さく抑えることが出来ることを示した。設計に当たっては、最適設計手法を用いて最適なダンパー定数を定めることにより、地震動入力レベルごとに設定する各種目標応答値を満足することが出来ることを示した。特に、連結機構摩擦ダンパーを用いた免震構造物の制御に関しては、既往の単連結機構に加えて、多段連結機構を提案した。多段連結の内、二段連結の場合については、二段階設計法を新に提案している。提案設計法では、レベル2地震動時において、免震層変形に関する制約を満足しながら最大の免震効果を発揮するようにダンパーを設計する。レベル2を超える地震動時において、隣接構造物への衝突を避けることを目的として、第一段階の解を前提に免震層残留変形にも留意しながら免震層変形を免震層クリアランス内に抑える解を探索する。提案設計法については、住宅免震を例として有効な設計例を示すと共に、実験的にもその解の有効性を提示した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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AIJ Journal of Technology and Design
巻: Vol.19, No.43 ページ: 855-860
10.3130/aijt.19.855
