研究課題/領域番号 |
23360252
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研究機関 | 鹿島建設株式会社(技術研究所) |
研究代表者 |
閑田 徹志 鹿島建設株式会社(技術研究所), その他部局等, 研究員 (40416780)
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研究分担者 |
百瀬 晴基 鹿島建設株式会社(技術研究所), その他部局等, 研究員 (30416789)
坂 敏秀 鹿島建設株式会社(技術研究所), その他部局等, 研究員 (30443740)
今本 啓一 東京理科大学, 工学部, 准教授 (60337300)
石田 雅利 鹿島建設株式会社(技術研究所), その他部局等, 研究員 (70443736)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | コンクリート / ひび割れ / 混合セメント / 高炉スラグ / クリープ / 収縮 |
研究概要 |
本研究は、我が国のCO2排出量削減のため喫緊の課題である混合セメント利用拡大に向け、乾燥の影響が少ない地下躯体に適用が限られている高炉セメントを用いた鉄筋コンクリート(RC)構造物を対象に、建築上部躯体への利用拡大を図ることを最終目的とする。高炉セメントRC部材は、収縮ひび割れ抵抗性に劣ることが上部躯体適用への最大の障壁のひとつであり、これを解決すべく同部材を対象に収縮ひび割れ制御設計手法の確立を目指す。実大部材レベルの収縮ひび割れ制御を国内外に先駆けて達成することで、高炉セメント適用拡大へ寄与することが期待される。本研究では、最終目標に向け、次の3つの項目について検討を行う。 ①高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れメカニズムの解明および解析手法の提案 ②同コンクリートのひび割れ抑制対策の効果の定量化と解析的再現 ③高炉セメントRC部材の収縮ひび割れ制御システムの構築と妥当性の検証 2年次となる平成24年度では、上記②に関連する実験検討および解析検討を実施した。実験結果から、高炉セメントコンクリート適用拡大の最大の課題である高温時にひび割れ抵抗性が顕著に低下する現象に関し、材料的対策として新規性の高い材料である保水性収縮低減剤や低収縮高炉セメントの使用、施工的対策では冠水養生が非常に有効でかつ現実的な解決策となる見通しを得たことは最大の成果といえる。また、ひび割れ解析により、これら対策を講じたコンクリートのひび割れに至るメカニズムについて検討し、材料構成により異なる硬化初期の収縮・膨張挙動およびクリープ挙動が支配的な影響を及ぼすことを明らかするとともに、膨張・収縮ひずみ、クリープひずみなどの構成則の定式化を行い普遍的な解析手法の基盤を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に基づき順調に進展しており、高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れメカニズムに関する新しい知見や構成則のデータが抽出され、本研究の最終目標に繋がる研究実績が得られている。これまでに得られた知見・成果は以下の通り。 1)高炉セメントコンクリートのひび割れ抵抗性は夏期高温時に顕著に低下し自己収縮の増大などがその理由であることが明らかとなった、2)高炉セメントコンクリートのクリープは普通セメントの場合に比べ小さい傾向があり、ひび割れ抵抗性低下の一因となっている可能性がある、3)夏期に低下するひび割れ抵抗性を改善するため、新しい材料である保水型収縮低減剤や低収縮高炉セメントの利用が効果的であることが分かった、4)同じくこの改善に向け、硬化初期に水分を積極的に供給する養生方法が有効であり、実務的には冠水養生の採用などが考えられる、5)これらひび割れ抵抗性向上の対策を講じたコンクリートのひび割れに至るメカニズムについて検討し、材料構成により異なる硬化初期の収縮・膨張挙動およびクリープ挙動が支配的な影響を及ぼすことを明らかとした、6)これら対策による改善効果について定量的に解明し、ひび割れ解析に用いる構成則として定式化した、7)前記構成則により、普遍的な解析手法の基盤を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成25年度は、高炉セメントRC部材の収縮ひび割れ制御システムの構築と妥当性の検証を行う。第一に、高炉セメントRC部材のひび割れ後挙動に関する解析技術を確立するため、同部材の鉄筋付着検討実験を実施し、その結果に基づきひび割れ幅の予測を含む弾塑性解析手法を開発する。第二に、収縮ひび割れ制御設計システムの提案と設計プログラム作成を行う。この課題の検討にあたっては、これまでに開発した要素技術を統合することで可能な限り普遍性に富むシステムを提案することを目指す。第三に、模擬部材実験による制御設計法の検証を行う。模擬部材実験では、実大スケールの模擬試験体を作製し、環境温湿度のほか、躯体ひずみ、躯体温度、躯体内部湿度、ひび割れ発生状況等の経時変化を計測する。さらに、同試験体のひび割れ挙動に関する解析により、予測精度に加えひび割れ抑制対策の効果を確認することで、本収縮ひび割れ制御システムの妥当性を検証する。
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