研究課題/領域番号 |
23360253
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
羽山 広文 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80301935)
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研究分担者 |
齊藤 雅也 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20342446)
菊田 弘輝 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (20431322)
森 太郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70312387)
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キーワード | 建築環境・設備 / 室内温熱環境 / 省エネルギー / 人口動態統計 / 人口動態統計 / 疾病発症 / 在宅医療・看護 / 入浴環境 |
研究概要 |
1.人口動態統計による死因の分析と気象条件との関連性評価 厚生労働省の人口動態統計データを目的外使用で入手し、各地のアメダスデータと関連付け、死亡率の季節依存性が高い心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患と外気温度との関係を検討した。その結果、月平均気温の低下に伴い自宅での死亡率が病院と比較し顕著に増加した。また、月平均外気温度と65歳以上の死亡リスクの関係をオッズ比(15-20℃を1)で評価すると、心疾患では四国・東海・中国、脳血管疾患では中国・四国・東海、呼吸器疾患では九州沖縄・四国・東海の順で死亡リスクが高い。さらに、住宅土地統計データを活用した建物性能と死亡リスクの関係を評価すると、木造住宅の比率が高く、築年数の大きな住宅の比率が高い地域ほど、死亡リスクが高くなった。 2.在宅医療・看護時の室内温熱環境が身体へ与える影響の実態把握 医療施設による在宅医療実施時に得られた74人の生理データを用い、住宅の温熱環境と高齢者の生理データとの関連性を調査・分析した。その結果、10℃の室内温度低下に対して約10mmHgの血圧上昇があった。夏季から冬季という季節の変化に対して被験者74人中全員で室温が低下し65人で血圧の上昇がみられた。低断熱の住宅では室内での温度差が大きく、それにより血圧変動が生じ血圧障害を起こす危険性を把握した。 3.入浴環境が身体へ与える影響の実態把握 札幌と福井の65歳以上の被験者17人を対象に、冬期の入浴時における室温変化に対する高齢者の血圧変化を明かにするため、入浴時の温熱環境と生理データの計測を行った。その結果、居間から脱衣室へ移動した際、室温低下に対する収縮期の血圧上昇の相関は、福井の方が札幌よりも顕著であった。その理由は、札幌の住宅の方が外気温度は低いにも関わらず、居間および脱衣室の温度が高くなっているためである。また、室温低下が5℃以上になると、80%の確率で上昇することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人口動態統計データの入手、実測調査は概ね予定通り実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
実測調査ではサンプル数の確保が要になる。今後ともサンプル数確保のため、在宅診療・看護の際に協力してくれる医療機関を拡大する予定である。
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