平成25年度は、(1)作業-一時中断状態遷移モデルに基づいた知的生産性指標の開発、(2)知的生産性指標を導出するツールの開発、(3)知的生産性指標の評価実験、(4)生理指標計測とパフォーマンス計測による状態判別実験を実施した。 (1)に関しては、開発した作業-一時中断状態遷移モデルに基づき、作業状態と短期中断状態を「集中状態」として、認知タスク実施中の集中状態の比率である「集中時間比率」を新たに知的生産性指標として開発した。さらに、この指標を導出するため、(2)認知タスクと分析ツールを開発した。認知タスクは、オフィス作業で必要となる言語・数字の取り扱い能力や判断能力を使用し、難易度が均一である問題を開発し、その1問毎の解答時間から認知タスク中の集中時間比率を自動的に計算するソフトウェアツールを開発した。(3)に関しては、このツールが適切に知的生産性を評価できるかどうかを調べるため、環境を統制した実験室において、タスク&アンビエント照明環境下と全室照明型の蛍光灯照明下にて、20人の被験者が参加する実験を実施した。その結果、全室照明環境下では67.5%であった集中時間比率がタスク&アンビエント照明環境下では72.5%に有意に上昇することを確認した。(4)については、生理指標による状態判別手法に作業のパフォーマンス指標も加えて、作業者の作業状態を(a)High W.S.、(b)Optimal W.S.、(c)Bad W.S.、(d)Low W.S.の4つに分類するモデルを開発した。さらに、31人の被験者が参加した被験者実験を実施した。その結果、作業中の被験者の状態変化をリアルタイムで推定でき、詳細な状態変化を追跡できることが分かった。
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