研究課題/領域番号 |
23360269
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研究機関 | 北海道工業大学 |
研究代表者 |
谷口 尚弘 北海道工業大学, 空間創造学部, 准教授 (80337013)
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研究分担者 |
細川 和彦 北海道工業大学, 空間創造学部, 准教授 (10347750)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 積雪寒冷地域 / 住宅地計画 / 雪堆積形成 / 主風向 / 屋根雪 / 空中撮影法 / GPS / 吹きだまり |
研究概要 |
本年度は,主風向側の環境が異なる2つの街区(A街区:強風の影響がある街区、B街区:主風向側に住宅があり強風の影響が少ない街区)を選定し,街区内部の積雪状況を空撮とGPSによる積雪深の実測調査を行い,街区内部の雪堆積形成の相違について検討した。 1)屋根面の積雪状況は,勾配屋根では,落雪により屋根面のすべての雪が落雪している住戸と屋根上の一部に積雪している住戸が確認できた。これらは,勾配の大小および屋根葺き材の相違や住戸からの放熱や日射による一部分の融雪等が要因として考えられるが,近隣からの風雪による積雪の場合や,風上側に住戸が存在する場合に,屋根面の一部に積雪していると考えられる。 2)落雪した屋根雪の堆積状況は,勾配屋根では落雪方向に大小様々な落雪箇所が確認できた。その範囲をみると,すべての住戸が敷地内に落雪していた。また,落雪方向が西側と東側になっている住戸をみると,西側の落雪範囲に比べ東側の落雪範囲が大きいことが確認できた。この要因の一つには,風上側の屋根面の雪が風によって飛散(減少)し,落雪する雪が少ないため推測できる。 3)住戸周辺の吹きだまり状況は,風下側の住戸である北東側の各住戸の風上側に多く形成されていることが確認できた。A街区とB街区の吹きだまりを比較すると,A街区はB街区に比べ複数の敷地に連なる複雑な吹きだまりが形成されていた。この複雑な吹きだまりの発生要因は,主風向がA街区の風上側の各住戸間を通り抜け,風下側の住戸や車庫,除雪によって堆積された雪等の障害物によって発生したと考えられる。 4)以上より,風上側に住宅地が存在する街区に比べ,農地等の広大な土地が存在する街区の方が普遍的な積雪深になること,冬期間の主風向に対応した住戸配置や外構物の設置をしていない場合に,街区内部では複雑な吹きだまりが発生すること,が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,前年度に撮影した住宅地のなかから雪問題が発生しているいくつかの街区を抽出し,「①街区内空地や地区雪堆積空間の配置・設置の相違による街区内・住戸敷地内の雪堆積形成の状況とその関係性・相違性」,「②住戸形態(屋根形態等)の相違及びその影響による雪堆積形成の状況と影響度」,「③日射や住戸排熱等の融解作用による雪堆積形成の状況と影響度」,「④時系列にみる雪堆積状況の変化と諸要因との関係性について」を分析する予定であり,おおむね順調に進展している。しかし,③については,未実施であったため,次年度に再検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度,本研究は気候・天候に左右されることから,前年度と同様の調査を実施する予定である。特に,平成24年度に実施できなかった「③日射や住戸排熱等の融解作用による雪堆積形成の状況と影響度」の調査方法及び分析方法を再検討する。また,これまでの調査結果から,雪問題の発生は多雪期であることが明らかとなったため,研究計画にある「④時系列にみる雪堆積状況の変化と諸要因との関係性について」については,調査分析を再検討する予定である。一方,平成25年度の降積雪の状況を勘案し,平成24年度の降積雪状況との比較分析を新たに追加する予定である。
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