本年度はこれまで3年間実施してきた調査分析結果(街区内空地や地区雪堆積空間の配置・設置の相違による雪堆積形成の状況と関係性・相違性、落雪の影響による雪堆積形成の状況(屋根形態の相違による雪堆積形成状況)と影響度に関する分析、時系列にみる雪堆積形成状況の変化)をもとに、雪堆積形成の実態から「冬期間における住宅地の除排雪に関わる除排雪量を軽減するための計画ガイドライン」について検討・提案した。とりわけ、各住戸の計画時点における除雪量を軽減できる手法の検討、および、敷地や住戸及び構築物の配置などの計画的手法の検討である。 平成26年度は、平成24年度調査データと平成25年度調査データをもとに、雪堆積形成の過程分析をとおして、より的確な雪堆積形成の要因の分析を実施した。その結果、雪堆積形成の過程分析からは、屋根から落雪した雪山と吹きだまりおよび吹き払いに大きな関係性があり雪堆積形成過程の視点からも明らかとなった。とりわけ、勾配屋根住戸周辺に発生する屋根からの落雪する雪山の量は屋根上の気象条件や住戸等の立地条件などにより差が生じるとともに、さらにその雪山の影響を受け、吹きだまりや吹き払いが形成されることが明らかとなった。また、雪堆積形成の要因分析からは、1)主風向側に空き地が接する街区では主風向に住宅が建ちならぶ街区に比べ風雪により街区内の風上側と風下側の積雪深に大きな差が生じること、2)主風向側に空き地が接する街区では風下側に配置された住戸や外構物などの障害により主風向から入る風雪が通り抜けられず街区内で複雑な吹きだまりが形成されること、3)屋根上の雪は日射の影響を受けるために、勾配屋根では日射が当たる部分と当たらない部分から落雪する雪の量に相違が生じるため日射を有効的に活用することで吹きだまりや吹き払いの形成を軽減できること、などが明らかとなった。
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