研究課題/領域番号 |
23360273
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池上 重康 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30232169)
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研究分担者 |
砂本 文彦 広島国際大学, 工学部, 准教授 (70299379)
角 哲 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90455105)
中江 研 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40324933)
崎山 俊雄 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (50381330)
辻原 万規彦 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (40326492)
木方 十根 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (50273280)
谷村 仰仕 広島国際大学, 工学部, 講師 (00368812)
中野 茂夫 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00396607)
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キーワード | 社宅街 / カンパニータウン / 都市構造 / 労働者住宅 / 都市形成史 |
研究概要 |
1)植民地および植民支配地における社宅街のフィールド・サーヴェイ 樺太の製糖工場、台湾の製糖工場、満洲(中国東北地方)の炭礦ならびに製鉄工場のフィールド・サーヴェイならびに資料収集をおこなった。あわせて、中国撫順市社会科学院傳波教授、ハーバード大学博士課程Victor Seow氏と撫順炭礦市街地の形成にかんして研究討議をおこなった。特に撫順炭礦においては、東京都公文書館内田文庫所蔵の南満洲鉄道株式会社が大正2年に作成(原案は明治42年作成)した社宅の設計図面・仕様書集を発見し、大連と撫順で共通に建築された社宅の設計者が弓削鹿治郎であることがわかった。弓削は当時撫順炭礦勤務であり、これまで西澤泰彦博士が推察してきた「大連の社宅を撫順に準用」したのではなく、撫順において設計したものを大連に援用したことが明らかとなった。 2)米国における「カンパニータウン」の形成に関する資料の収集と次年度の調査計画の策定 Garner, J. S., The model company town, 1982, Crawford, Margaret, Building the workingman's paradise, 1995を基礎資料に米国におけるカンパニータウン研究の動向を探るとともに、時代的、社会的観点から特徴的なカンパニータウンの抽出を行った。米国におけるカンパニータウンは狭義には19世紀半ばから1930年の大恐慌までに計画されたものであることを指し、大きく3期に分けられる。第1期は1880年代の不況以前であり、事業者のパターナリズムの下、都市計画家や建築家の関与しないインダストリアル・ランドスケープを形成した。第2期はモデル・タウンと称される時期で、プルマンに代表される福利資本主義の思想が根底にある。第3期は計画家の関与があり、田園都市や都市美運動がカンパニータウンの形成に大きく影響した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は時間的制約および視察対象予定であった施設の改修工事という不確定要因により、研究計画書に沿った研究運営をおこなうことができず、次年度へ繰り越した。そういった意味では研究の達成に初年度は支障があったといえる。平成24年度に繰り越した予算で、前年度に行えなかった資料収集に加え研究討議も行うことができた。また、調査を進める中で、撫順炭礦および鞍山製鉄所社宅街にかんする未確認の資料の存在を知ることができたが、これらの資料収集については、次年度以降に行う予定でいる。
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今後の研究の推進方策 |
満洲(中国東北地方)の社宅街(撫順炭礦と鞍山製鉄所)の社宅街にかんする資料(主に旧写真)を、長崎市ならびに中国遼寧省大連市旅順博物館へ収集に赴く。これにより、満洲における当初予定していた社宅街の資料がほぼ揃うことになるため、収集資料の解析を進め、論文執筆に早急に取り組みたい。 次年度以降は、調査対象を欧米へと広げる。当年度よりカンパニータウンに関連する図書の入手と翻訳を進めており、それを基礎資料に欧米のカンパニータウンの視察対象都市を絞り込む。 本研究の最終目的はカンパニータウンの国際比較であるので、常に日本における社宅街との対比を念頭に置きつつ考察をすすめる。
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