研究概要 |
本年度における本研究は,研究目的としての下記のI~IIIの課題について,研究代表者と研究分担者により同時平行的に遂行された。 I.20世紀の建築家の思索(方法概念)の生成論的研究: 1)ステートメント,講義・講演録,著作による分析 建築家(カーン,ル・コルビュジエ,ミース,アアルト,ライト,ファン・アイク,ノイトラ,シンドラー,イームズら)のステートメント収集が進められ,整理・分析(データベース化)のための予備的考察が進められた。とりわけ,シンドラーの論考については1編の査読論文にまとめられ,掲載が決定した。 2)建築家のスケッチ,紀行文による分析 各種文献などに収録されるスケッチ,紀行文の分析を通し,古代建築,近代都市,未開社会(ヨーロッパ,北米,南米,北アフリカ,西アフリカ,中近東,南アジア等)における,建築家の空間把握の解明を試みた。 II.建築作品の生成論的研究: 3)建築作品の生成過程の実証的研究 建築家(ルイス・カーン,ル・コルビュジエ,ルイス・バラガン,ルドルフ・シンドラー,リチャード・ノイトラ,フランク・ロイド・ライトら)の主要作品を訪問し,建築作品の形成過程の分析のための予備的考察が進行中である。 4)アーカイヴ訪問,現地調査(建築作品調査及びサイト調査)による実証的検証 建築家(ルイス・カーン,ル・コルビュジエ,ノイトラ,ライトら)のアーカイヴ(財団)訪問による資料収集・閲覧を実施し,研究作品の図面,草案の複写を進めた。 III.総括: 5)生成論的分析による存在論的建築論の構築 上記Iの建築家の思索における「方法概念」とIIの作品分析を総合的に解読し,周囲環境を含む作品全体の場所論的解明を試みる。分析にあたり,本研究の主題解明のために「生きられた空間」の成立に関わる「場所概念」「身体概念」「生命概念」などの考察を行うため,現象学的文献研究が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画における2年目となる次年度においては,本年度に得られた諸資料の分析を重点的に推し進め,各研究者ごとの知見の取りまとめ,研究論文や報告会への成果発表,ならびに研究者相互の意見交換を積極的に行う予定である。こうした各研究者の活動を経て,最終年度となる3年目においては,各研究者に依る個別研究を横断するような,本研究全体の総括的研究へと展開させる計画である。
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