研究課題/領域番号 |
23360280
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福田 隆 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50228912)
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研究分担者 |
寺井 智之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20346183)
掛下 知行 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90127209)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 弾性変形 / 弾性異方性 / マルテンサイト変態 / 格子軟化 / 弾性熱量効果 |
研究概要 |
著しい格子軟化を示すFe-31.2Pd合金ならびにFe-30.8Pd合金を用いて,弾性変形挙動の温度依存性ならびに結晶方位依存性を調査した.得られた主要な結果は以下の通りである. 【弾性変形の温度依存性】最大弾性変形は温度低下に伴い大きくなることを明らかにした.たとえば,Fe-31.2Pd合金では,240Kでは約7%,300Kでは約4.5%の弾性変形が現れる.一方で,降伏応力は温度に対して著しく変化することなく,240K, 300 Kいずれもおよそ300MPaで降伏することを見出した.さらに降伏に際して{111}変形双晶が内部に導入されることを明確にした. 【弾性変形の結晶方位依存性】弾性変形の最大値は結晶方向に大きく依存することを明確とした.たとえばFe-30.8Pd合金では,[001]方向では,7%を超える弾性変形が現れるが,[110]方向では弾性変形は最大1.6%であることを示した.これは,この合金の著しい弾性異方性に由来する.降伏応力は,応力負荷の方位には大きく依存しないが,多結晶試料を用いると降伏応力は単結晶のおよそ半分にまで低下することを見出した.これは,大きな弾性異方性のため,特定の結晶粒に著しい応力集中が生じているためと解釈できることを示した. 【弾性熱量効果の発見】研究計画当初は予定していなかったが,Fe-Pd系合金における格子軟化を利用すると,顕著な弾性熱量効果が現れることを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた研究は,全て予定通りに進行した. 加えて,計画当初には想定していなかったことであるが,Fe-Pd合金において著しい弾性熱量効果が現れることを見出した.この効果は,今後冷凍材料としての新な可能性を示唆するものである.
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今後の研究の推進方策 |
Fe-Pd系については,2つの温度について降伏応力に至るまで,弾性変形を調査した.今後は,更に試験温度を増やして測定を継続する.また,Fe3Ptに関しては,降伏に至るまでの測定には至っていない.今後,Fe3Ptの降伏現象についても明らかにしてゆく. また,本研究課題を実施するに際して,見出した弾性熱量効果については,平成26年度以降の基盤研究(B)において採択された課題「著しい格子軟化を利用した弾性熱量効果―新しい冷凍材料としての可能性」においてさらに系統的に研究推進する予定である.
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