研究概要 |
Fe3PtならびにFe-31.2Pd合金は,2次に近いマルテンサイト変態を示し,その変態に前駆して,著しい格子軟化を示す.我々は,平成23年に,これらの合金に[001]方向から圧縮応力を加えると,6%を超える弾性変形が現れることを見出した.平成25年度は,Fe3Ptに現れる弾性変形が,応力下における格子定数の変化に由来することを確認した.具体的には大強度陽子加速器施設(J-PARC)の応力下の回折装置である匠を利用し,応力下における格子定数を測定した.得られた実験結果を解析した結果,応力下においてマクロに現れるひずみは,応力下での格子定数の変化にほぼ正確に一致することが明らかとなった.また,Fe-31.2Pd合金においては,そのマルテンサイト状態において非常に大きな内部摩擦が生じることを新たに見出した.すなわち,Fe-31.2Pd合金は制振材料としても利用できる可能性がある.得られた成果は,強磁性形状記憶合金の国際会議において招待講演として発表するとともに,日本金属学会2014年春講演大会において基調講演として発表した.また,Acta Materialia, Applied Physics Letters, ISIJ international などの主要学術雑誌に発表した.
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