研究課題/領域番号 |
23360282
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石黒 孝 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (10183162)
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研究分担者 |
田村 浩二 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (30271547)
早瀬 仁則 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (70293058)
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キーワード | 赤外顕微分光 / 水熱反応 / バイオ・ソフトマター / 水 / MEMS / ATP / FT-IR / ADP |
研究概要 |
本研究の目的は水に関する課題解決を実現すべく、MEMS技術により光路長を制御し、均一反応を実現できるマイクロリアクターを作製し、これに顕微赤外分光装置を組み合わせ、新しい水中化学反応その場観察装置を構築することである.課題は次の3つである. 1.金属水熱反応のその場観察:水熱反応による金属A1の水酸化物形成、あるいは金属Znの酸化物形成等の金属と水の反応を水分子、水酸基、金属ラジカルの赤外振動状態の変化としてとらえる. 2.水の水素結合の定量測定:水の高次構造を赤外吸収スペクトルの温度変化を定量評価する. 3.ATP加水分解反応場のその場観察:生命の代謝の基本であるATP加水分解によるADPへの変化に注目し、加水分解反応に対するMg2+添加の影響を赤外吸収によりとらえることである. 23年度は、真空試料室+XYステージ+IR検出器からなる全真空赤外顕微鏡を購入し、これに既存の真空対応FT-IR装置を光源として装着し、排気系を取り付け、全真空・赤外顕微鏡を立ち上げた.そしてシリコン製のマイクロ反応セルに作り込むのに適切な水の行路長さを見積るための予備実験を行った.また、冷媒フローによる反応セルの温度制御を実現した.セルの高温・高圧までの耐久性を確認し、水の吸収スペクトルを測定し、デコンボリューションを行い、いくつかの振動成分の温度・圧力依存性を明らかにした.さらにATP水溶液にMgC12を混入した赤外線透過スペクトル測定の予備実験を行い、リン・酸素結合における差異を見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した通りに装置を完成させることができ、これを用いた予備実験も実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に立ち上げた装置に流体混合機能を付与できるように改良し、行路長を制御したセルを作製し、水、ATP溶液等の透過赤外分光定量測定を実施する。また金属膜の水熱反応その場観察について実施する。
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