研究概要 |
(1)InAs,GaAsおよびコア/シェル型InAs/GaAsコロイダルQDの合成、PbseコロイダルQDの合成 室温・大気雰囲気での取り扱いが簡便で、安全性の高いInAsおよびGaAsコロイダルQDを合成可能な、ホットソープ法プロセスを探索した。各種のAs原料を調査した結果、トリフェニルアルシン(mp:600q,bp:360℃,LC_<50>:As_2O_3の1/100~1/200)が、その候補として見出された。溶媒、界面活性剤にはオクタデセン、オレイルアミンを、In原料にはInBr_3を用い温度330℃での反応により、InAsコロイダルQDを合成することができた。In原料や界面活性剤を最適化していないにも拘らず、コロイダルQDが得られたことは、今後の高品質QD合成に期待を与える。反応時間によるサイズ制御などが今後の技術的課題である。InAs、GaAsコロイダルQDと並行して検討を進めるPbSeコロイダルQDを合成した。PbOとTOP-Seとの反応で、直径3~10nmのコロイダルQDが合成できた。 (2)コロイダルQDの形状、サイズ、光学特性の評価と調整 CdSeコロイダルQDを用いて、サイズとその分布制御手法を検討した。内径200μmのガラスキャピラリーを用いた流通系反応器で、平均粒径3.7nm、分布2.8~4.2nm、変動係数10%のコロイダルQDを得られた。これを分級し平均粒径3.5nm、分布3.0~4.0nm、変動係数6.1%へと改善できた。サイズ分布が狭い、すなわち、量子準位の分布が小さいQDの作製指針が妥当であることが確認できたので、今後、InAs、PbSeなどのQDへ適用し、QDアモルファス薄膜でのミニバンド形成へと展開する。
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