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2012 年度 実績報告書

半導体量子ドットアモルファスにおけるミニバンド形成と超高効率光電変換素子への展開

研究課題

研究課題/領域番号 23360287
研究機関大阪大学

研究代表者

小俣 孝久  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80267640)

研究分担者 喜多 正雄  富山高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (00413758)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードナノ材料 / 量子ドット / 高効率太陽光発電材料・素子 / 先端機能デバイス
研究概要

(1) InAs, GaAsおよびコア/シェル型InAs/GaAsコロイダルQDの合成
昨年度の探索により見出された、トリフェニルアルシン(mp: 60oC, bp: 360oC, LC50:As2O3の1/100~1/200)をAs原料を使用したInAsコロイダル量子ドットの合成方法が極めて不安定であることが明らかとなった。このため、本年度はInAsコロイダル量子ドットの合成法を再検討した。その結果、臭化インジウムのオレイルアミン溶液とトリフェニルアルシンのオクタデセン溶液を混合後、トリオクチルホスフィンオキシドをキャッピング剤として加え、320℃で反応することにより、InAsコロイダル量子ドットを安定して得ることができた。XRDから求めた平均粒径は、反応時間により10~16nmの範囲で制御できたが、高分解能TEM観察によると、大きさ、形状の分布が大きく、ミニバンド形成には適さないものであった。更なる検討の結果、臭化インジウムをトリオクチルホスフィン/オレイルアミン混合溶媒に溶解し、トリフェニルアルシンのオクタデセン溶液と混合し、340℃で反応することにより、3~14nmのInAsコロイダル量子ドット得ることに成功した。大きさ3nmの量子ドットでは高分解能TEM観察によると、球形でサイズの分布も小さいことが明らかとなったので、GaAsによる被覆が可能となり次第ミニバンド形成の検討を開始する準備が整った。
(2) PbSeコロイダルQDへのシェル層の形成
InAs/GaAs系と並行して行っているPbSe系では、PbSe量子ドットを合成後、100-150でPb→Cdのイオン交換処理を行うことで、PbSe/CdSeコア/シェル型量子ドットの合成に成功した。この方法により、PbSeの安定性を高めることができたので、これを用いたミニバンド形成の検討が可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

前年度に開発したInAsコロイダル量子ドットの合成方法の安定性が低く、再現性良くInAsコロイダル量子ドットが得られないことが、本年度の検討により明らかとなった。現在量子ドット太陽電池の研究の主流はPbSeであるが、本質的にはInAs、GaAsなどの砒化物半導体がその用途に適している。代表者らのグループ以外で、安全な砒素原料を用いた砒化物半導体の合成方法が検討されていないことが、PbSe系が主流となっている最大の要因である。本研究課題では、安全な砒素原料を用いた砒化物半導体量子ドットの合成は大きなハイライトであり、この実現なくして本研究課題を推進することができない。昨年度開発した方法ではこれが達成されていないので、本年度の研究の大部分をInAsコロイダル量子ドットの合成に集中した。結果として、当初実施する予定であった、GaAs薄膜の合成を実施することができず、全体としては計画から遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

平成24年度の検討で、InAsコロイダル量子ドットの合成方法はほぼ確立できたので、今後はGaAs量子ドットの合成方法の開発を早急に行う。InAs/GaAsコア/シェル型量子ドットが本課題のハイライトの一つであり、その実現だけでも大きなインパクトのある成果となるので、コロイダル量子ドットの合成方法の確立を中心に研究を推進する。
一方で、PnSe系についてはコア/シェル構造の実現により量子ドットの化学的耐久性が向上しているので、この系を用いてミニバンド形成の評価を推進する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] Semiconductor Quantum Dot Phosphors; Challenges to Free From Cadmium Toxicity2013

    • 著者名/発表者名
      小俣孝久
    • 学会等名
      8th International Symposium on Transparent Oxide and Related Materials for Electronics and Optics (第8回透明酸化物とその関連物質に関する国際シンポジウム)
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      20130513-20130515
    • 招待講演
  • [学会発表] コロイダルInAs量子ドットの新規液相合成法2013

    • 著者名/発表者名
      上杉秀雄、小俣孝久、喜多正雄
    • 学会等名
      資源・素材学会 2013年春季大会
    • 発表場所
      千葉工業大学
    • 年月日
      20130328-20130330
  • [学会発表] コロイダル量子ドット蛍光体での脱カドミウム2013

    • 著者名/発表者名
      小俣孝久、栗本広大、喜多正雄
    • 学会等名
      日本セラミックス協会 基礎討論会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      20130109-20130110
  • [学会発表] 複合カルコゲナイド半導体ナノ粒子の合成と光学機能2012

    • 著者名/発表者名
      小俣孝久
    • 学会等名
      日本セラミックス協会 2012年秋季シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      20120919-20120921
    • 招待講演
  • [学会発表] CuInS2コロイダルナノ結晶の合成と蛍光特性2012

    • 著者名/発表者名
      栗本広大、小俣孝久、喜多正雄
    • 学会等名
      日本セラミックス協会 2012年秋季シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      20120919-20120921
  • [学会発表] 有機溶媒に分散するLiGaO2コロイダルナノ結晶の合成2012

    • 著者名/発表者名
      末廣隆史、小俣孝久、喜多正雄
    • 学会等名
      日本セラミックス協会 2012年秋季シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      20120919-20120921

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公開日: 2014-07-24  

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