研究課題/領域番号 |
23360300
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮崎 修一 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50133038)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | チタン合金 / 超弾性合金 / マルテンサイト変態 / 形状記憶効果 |
研究概要 |
本研究は、生体内で安全に使用することのできる、β-Ti 合金を基にした新たな形状記憶・超弾性および低ヤング率・高強度を有する合金の材料開発を目指すものである。本年度では、超弾性特性に及ぼす加工熱処理の影響について調べた。特に、昨年度の研究で6%以上の回復歪みを示したTi-Zr-Nb-Sn、Ti-Zr-Mo-Sn、Ti-Zr-Nb-Al合金を用い、超弾性特性に及ぼす焼鈍処理、時効処理の影響について調べた。いずれの合金系においても、超弾性特性は焼鈍温度に大きく依存した。Ti-Zr-Nb-Sn系の場合、冷間圧延材では最大強度1000MPaの高強度を示したが、破断ひずみが3%と小さく超弾性は殆ど示さなかった。焼鈍温度が100~500℃では熱処理温度の上昇に伴い破断応力および破断ひずみが減少した。特に300~500℃の焼鈍ではω相の析出に起因する脆化が現れ300MPa以下で破断した。焼鈍温度が600℃以上では熱処理温度の上昇に伴い破断ひずみが増加し超弾性が現れたが、強度が低下した。Ti-Zr-Nb-Sn合金において最も良好な超弾性を発現する熱処理条件は800℃-30分で、その超弾性回復歪みは7%以上の非常に優れた特性を示した。一方、500℃以下の時効処理は超弾性の改善に大きな効果がなかった。その理由は、時効処理により強度は少し上昇したが、マルテンサイト誘起応力も大きく上昇したためであった。また、再結晶集合組織におよぼす添加元素および熱処理条件の影響について調べ、SnおよびAlの添加が大きな格子変形歪が発現する{001}<110>再結晶集合組織の形成に非常に有効であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終的な目的は、超弾性回復歪みが大きく(4%~6%)かつ超弾性変形応力が大きく(600MPa以上)安定なTi基超弾性合金を開発することである。昨年度の研究で導いた最適組成の合金に各熱処理を施すことで、7%以上の超弾性が実現できた。また、集合組織制御による特性改善方法を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後、侵入型元素の添加、加工熱処理による内部組織の最適化により、6%以上の大きな回復歪みを維持しながら、超弾性変形応力の上昇を目指す。また、強度の上昇に有効な析出物の形成を試みる。さらに、集合組織の形成過程を明らかにし、Ti基合金における集合組織の制御指針を確立する。
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