• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

高密度格子欠陥を有する純Feを利用した水素脆化メカニズムと支配因子の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23360304
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

戸高 義一  豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50345956)

研究分担者 上路 林太郎  香川大学, 工学部, 准教授 (80380145)
キーワード構造・機能材料 / 金属物性 / 水素 / 格子欠陥 / 巨大ひずみ加工 / 歪速度
研究概要

金属の高強度化を阻害する最大の要因となっている、水素脆化のメカニズムと支配因子を明らかにすることを目的とする。
供試材として、組織が単純であり、また、合金元素や析出物の影響を排除できる、純Fe(極低炭素鋼)を用いた。純Feを巨大ひずみ加工の一つであるHPT(High-Pressure Torsion).加工することで、高密度格子欠陥の導入と共に高強度化できたことから、水素脆化の特徴を顕在化させることに成功した。
HPT加工まま材に陰極水素チャージすることで、20 massppm程度もの水素を吸蔵できることが明らかとなった(無加工材ではく1 massppm Hである)。
水素脆化は、水素と格子欠陥との相互作用が重要な役割を担うことが知られている。そのため、HPT加工まま材における格子欠陥(微細組織)の定量化を、SEM-EBSD法(粒界密度,結晶方位差(GN転位密度)等),X線回折法(結晶子サイズ,転位密度等)により行なった。また、X線・中性子小角散乱法により、水素添加による微細組織の変化についても調査した。
格子欠陥と水素との変形中における動的な相互作用および協調運動に注目し、10^<-3>~10^3s^<-1>の広い歪速度範囲で引張試験を室温にて行なった。10^0~10^2s^<-1>の間で脆性破壊から延性破壊へ遷移することが明らかとなった。破面・破断形態の定量的な調査を行ない、HPT加工まま材の微細組織と比較することで、破壊に友ぼす水素のミクロな作用とマクロな破壊現象・力学特性との関連付けを進めている。高歪速度(10^3s^<-1>)での引張試験では、引張変形破壊に及ぼす水素の力学応答への影響が見られないものの、水素チャージ材では破面のディンプルサイズが著しく小さくなる等、興味深い現象が観察されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は、「HPT加工まま材を供試材として、歪速度を変えた引張試験にて、水素脆化挙動を調査する」ことを目的としており、脆性-延性遷移が生じる歪速度を明らかにする等、順調に進展している。また、HPT加工まま材の微細組織や引張試験後の破面・破断形態の定量化により、破壊に及ぼす水素のミクロな作用とマクロな破壊現象・力学特性との関連付けが進んでいる。

今後の研究の推進方策

平成23年度は「HPT加工まま材」のみを供試材としたが、平成24年度は格子欠陥種を調整した「HPT加工後熱処理材」も供試材とする。また、水素吸蔵量を調整した試料も作製する。これらにより、水素脆化を生じさせる格子欠陥種を明らかにすると共に、破壊に及ぼす水素のミクロな作用とマク・ロな破壊現象力学特性とを関連付ける。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 学会発表 (11件) 備考 (2件)

  • [学会発表] 極低炭素鋼の加工硬化挙動2012

    • 著者名/発表者名
      戸高義一, 梅本実
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会材料の組織と特性部会加工硬化特性と組織研究会シンポジウム「鉄鋼材料の加工硬化特性への新たな要求と基礎研究」
    • 発表場所
      神田エッサム(東京都千代田区)
    • 年月日
      2012-03-31
  • [学会発表] HPT加工により高密度格子欠陥を導入した極低炭素鋼の力学特性に及ぼす水素の影響2012

    • 著者名/発表者名
      戸高義一
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会自主フォーラム「多階層組織金属材料の組織-機械的特性の関係解明」
    • 発表場所
      四季の湯強羅静雲荘(神奈川県足柄下郡箱根町)
    • 年月日
      2012-03-02
  • [学会発表] HPT加工された極低炭素鋼と低炭素マルテンサイト鋼における水素脆性挙動の比較2012

    • 著者名/発表者名
      永木裕子, 大塚晃生, 森岡篤志, 上路林太郎, 戸高義一
    • 学会等名
      日本金属学会・日本鉄鋼協会中国四国支部第24回「若手フォーラム」
    • 発表場所
      岡山国際交流センター(ポスター発表)
    • 年月日
      2012-02-29
  • [学会発表] 熱処理によるサブミクロン結晶粒極低炭素鋼の引張特性変化2011

    • 著者名/発表者名
      冨永尚吾, 戸高義一
    • 学会等名
      日本金属学会・日本鉄鋼協会東海支部第21回学生による材料フォーラム
    • 発表場所
      名古屋工業大学(ポスター発表)
    • 年月日
      2011-12-01
  • [学会発表] HPT加工されたフェライト鉄における粒界性格の変化が機械的特性に及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      名越貴志, 柴田暁伸, 曽根正人, 戸高義一
    • 学会等名
      日本金属学会第149回秋期講演大会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター(ポスター発表)
    • 年月日
      2011-11-07
  • [学会発表] 高密度格子欠陥を導入した極低炭素鋼の水素脆化に及ぼすスモールパンチ試験速度の影響2011

    • 著者名/発表者名
      森迫和宣, 大塚晃生, 戸高義一, 梅本実, 松本佳久
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第162回秋季講演大会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] 高密度格子欠陥を導入した極低炭素鋼の水素脆化におよぼす引張ひずみ速度の影響2011

    • 著者名/発表者名
      大塚晃生, 戸高義一, 梅本実
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第162回秋季講演大会
    • 発表場所
      大阪大学(ポスター発表)
    • 年月日
      2011-09-20
  • [学会発表] HPT加工により高密度格子欠陥を導入した極低炭素鋼の加工硬化挙動2011

    • 著者名/発表者名
      橋本元仙, 戸高義一, 梅本実
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第162回秋季講演大会
    • 発表場所
      大阪大学(ポスター発表)
    • 年月日
      2011-09-20
  • [学会発表] HPT加工による極低炭素鋼の組織変化2011

    • 著者名/発表者名
      寄本真久, 戸高義一, 梅本実
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第162回秋季講演大会
    • 発表場所
      大阪大学(ポスター発表)
    • 年月日
      2011-09-20
  • [学会発表] High Pressure Torsion加工された極低炭素鋼の高速変形2011

    • 著者名/発表者名
      吉迫竜也, 上路林太郎, 大塚晃生, 森迫和宣, 戸高義一
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会・日本金属学会中国四国支部鉄鋼第54回・金属第51回合同講演大会
    • 発表場所
      岡山理科大学
    • 年月日
      2011-08-08
  • [学会発表] 水素チャージされた高強度鋼におけるひずみ速度変化に伴う破壊形態の遷移2011

    • 著者名/発表者名
      永木裕子, 上路林太郎, 大塚晃生, 森迫和宣, 戸高義一
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会・日本金属学会中国四国支部鉄鋼第54回・金属第51回合同講演大会
    • 発表場所
      岡山理科大学
    • 年月日
      2011-08-08
  • [備考] 戸高

    • URL

      http://martens.me.tut.ac.jp/

  • [備考] 上路

    • URL

      http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~ueji/index-j.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi