研究課題/領域番号 |
23360307
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀川 敬太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314836)
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研究分担者 |
小林 秀敏 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (10205479)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 水素 / 可視化 / 質量分析 / 損傷 / 破壊 / 水素脆化 |
研究概要 |
H24年度は,7075-T6アルミニウム合金をメインの対象材料として,引張き裂進展の際の水素関連イオンのマルチ計測について検討した。7075アルミニウム合金では,試験前に環境水素の導入を行うために,予め高湿度大気環境(RH90%)において塑性ひずみを与えた。材料中の水素量は昇温脱離水素分析装置で計測した。引張試験は質量分析計つき超高真空材料試験装置に改良を加え実施した。昨年度では高速度カメラのレンズの倍率が低くき裂の同定が困難であったため、本年度はそのカメラレンズの感度を高める工夫を行った。昨年度に完成させた、引張き裂進展の際の組織変化と水素放出現象を同期させて観察させることが可能とする,質量分析計と高速度マイクロスコープを備えた超高真空材料試験機の質量分析計のマルチ計測対への応改良を行った。水素の影響を受けた7075-T6合金の場合,試験片表面から粒界を伝播して水素が放出される挙動と粒内をき裂が伝播する際の水素放出挙動では明確に区別できることを示すとともに、その量的情報を取り出すことに成功した。水素の影響をうけた粒界き裂の伝播速度は粒内き裂の伝播速度よりも遅いこと,環境からの水素(重水素を使用)はき裂の生成前に表面部から放出されていることなど、を新たに示した。 また水素マイクロプリント(HMT)法を適用した結果,7075アルミニウム合金の表面に分布する介在物と母相との界面部あるいは粒界が水素の集積サイトとなっていることが明らかになった。このことから材料内部での変形中の水素トラップ状態(晶出相,介在物)の違いが,7075アルミニウム合金の水素脆化感受性の高さに強く影響しているものと結論づけられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題のメインターゲットである水素と損傷の同時可視化モニタリングについて,H24年度において、その観察ができる実験環境をほぼすべて整えた。開発したモニタリングシステムをベースとして、より詳細な測定(質量数の同時マルチ計測、き裂進展速度計測)などを実現しており、水素貯蔵用の構造材料のき裂生成や成長の観察を成功させている。したがって,当初H24年度に計画している内容をほぼ予定通り完了しているため,自己評価として②おおむね順調に進展,と自己判定 した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となるH25年度では,常圧大気環境中での水素放出現象を組織変化と対比させて観察できるように装置の一部改良を行う。またH24年度までに開発した損傷同期モニタリング型質量分析計付き超高真空材料試験機で得られているき裂進展時の水素放出の状況と対比させて,その性能を評価することとする。またその他の水素可視化手法である、水素マイクロプリント法による変形中の可視化観察との対比も取る予定とする。水素マイクロプリント法の改良計画としては、独自に設計した治具を用いて、応力を負荷させたままで,水素の放出の可視化を可能にするような装置を開発し,HMTでの反応を連続的に観察できるようにし,水素による損傷生成の状況をより明確にすることにする。
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