研究課題/領域番号 |
23360309
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高田 潤 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60093259)
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研究分担者 |
藤井 達生 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10222259)
中西 真 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (10284085)
草野 圭弘 倉敷芸術科学大学, 芸術学部, 准教授 (40279039)
菅野 了次 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (90135426)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ナノ酸化鉄 / 微生物由来 / マイクロチューブ / 非晶質構造 / Liイオン2次電池 / 正極材 / サイクル特性 / 単離菌 |
研究概要 |
次世代のLiイオン2次電池では、高性能に加えて大幅な低コスト(現行の1/30)の正極材が求められている。現在世界中で研究されている材料はこの条件を満たさず、新しい画期的材料の開発が喫緊の課題である。本研究では、これらの課題の解決を目指して、H23年度は従来自然界で不要物であった微生物由来チューブ状酸化鉄(“L-BIOX”と命名)を正極材として注目し、その特徴の解明と正極特性を明らかにした。H24年度は、2年前に我々が単離に成功したOUMS1細菌が人工培地中で作る酸化鉄OU-L-BIOXについて検討した。その結果、次の様な成果を得ることに成功した。(1)OU-L-BIOXは外径2.3μm、内径0.82μmのチューブ形状を呈する。(2)1次粒子はL-BIOXと同じサイズの直径約3nmの非晶質ナノ粒子である。2次粒子は繊維状および球状形状である。(3)高比表面積(91m2/g)を示す多孔質マイクロチューブである。(4)主構成金属元素比は、Fe:Si:P:Ca=75:8:14:3であり、 天然L-BIOX の元素比Fe:Si:P = 75:20:5と少し異なる水酸化鉄材料である。(6)更に、含有炭素量が15.4%と天然L-BIOX(1%)よりも遥かに高いことを明らかにした。(7)正極特性は、現行のLiCoO2材料を上回る高容量(約170 mAh/g)であるばかりでなく、高レート(5C)でも極めて良好なサイクル特性を示し、現行材料を凌駕する材料であることを見出した。以上の結果より、単離菌OUMS1が作る培養系微生物由来酸化鉄OU-L-BIOXは、人工合成出来ない特徴を示し、現行正極材料を超える優れた特性を有すことから、資源的に豊富で且つ革新的な低コストを可能とする従来にない画期的な正極材料であることを明らかにした。これらの結果は、学術的にも産業上でも極めて重要な驚くべき成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)これまで全く注目されていなかった単離菌OUMS1を用いた微生物由来酸化鉄OU-L-BIOXが、予想以上の驚異的な優れた正極特性(高容量、高出力特性)を初めて発見し、現行材料の欠点(低出力特性、高コスト、希少資源使用)を克服できる可能性を見出し、学術上のみならず産業上も極めて大きなインパクトを与える。(2)このBIOXが直径3nmのアモルファス構造の1次粒子から構成された構造体であることを見出した。(3)この様に、OU-L-BIOXも、天然L-BIOXと同様に、人工的に作製できない画期的材料が機能材料として高いポテンシャルを有することを初めて明らかにし、機能材料の新規材料設計への革新的提案を示した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)天然のL-BIOXおよび単離菌による“OU-L-BIOX”のLiイオン2次電池充放電特性の更なる詳細を検討する。 (2)微生物由来酸化鉄BIOXが現行正極材料LiCoO2以上の優れた特性を発現するかの解明を試みる。特に、BIOX特有のナノ粒子とナノ階層構造、非晶質構造、多孔質などに注目して、人工合成ナノ酸化鉄との比較しながら発現機構を検討する。
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