研究課題/領域番号 |
23360313
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
不動寺 浩 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (20354160)
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研究分担者 |
澤田 勉 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (40354378)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | コロイド結晶 / 構造色 / オパール薄膜 / 自己集積 / ブラッグ回折 / フォトニック結晶 / 歪みの可視化 / スマート材料 |
研究概要 |
①ナノレベルの構造を高次制御した人工オパールの光学特性の設計指針と②工学的にスケールアップ可能な合成プロセスを確立する。前者は、粒子合成を含むコロイド結晶のデザイン、後者は工学的に生産可能となるオパール結晶薄膜の連続成膜が可能となるプロセスの基盤技術の確立を目指している。一方、オパール薄膜によるスマート材料として③環境センシング、④歪み分布可視化及び⑤1次元フォトニック結晶について、H23年度に引き続き検討した。平成24年度についてそれぞれの研究実績は次の通りである。 ①単分散粒子として屈折率1.59のPS(ポリスチレン)粒子及び1.49のPMMA(アクリル)粒子及びその複合粒子について粒子径の異なる50種以上の合成を行った。これらの多様な粒子を組み合わせることで粒子径及び屈折率の違いによる材料設計が可能となった。また、オパール薄膜のマクロ形状(mmレベル)をホットエンボス加工することで角度依存性など平坦なオパール薄膜では観察されない、新しい光学特性の機能設計も可能となった。②H23年度の成果を元に、別予算により新型のオパール成膜装置を開発し、高品質な成膜が可能であることを検証した。成膜サイズは150×100mmサイズであり、スケールアップが容易な点から工学的に生産可能な合成プロセスとして期待される。 ③H23年度に検証した微量成分(純水中に溶解するベンゼン)の検出感度を向上させるため、分光器の分解能を向上する改造と測定評価を行った。④連携研究者と共に歪み分布の可視化については、同軸照射系の専用の撮影治具の開発と既存の歪みゲージによる回折ピークのシフト量との相関を明らかにした。⑤研究協力者との共同研究であり、H24年度にワイドフォトニックバンドギャップが形成可能なカルコゲナイトガラスによるインバースオパールについて、広い面積を効率的・効果的に形成可能な新プロセスを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5つのテーマそれぞれに達成状況に違いがあるものの全体としてはほぼ計画通り順調に進展していると自己評価した。それぞれの進捗状況は下記の通りである。 ① オパール構造と光学結晶のデザイン:シリカ粒子の合成実験の遅れなどでオパール結晶の合金化について当初の計画から遅れているものの、本テーマについて全体としては順調に進展している。最終年度であるH25年度は早急にシリカ粒子の合成に成功し、合金構造の研究を推進することで対応可能だと考えている。 ② オパール結晶薄膜の高品質化:メカニズム解明について研究協力者のBrush教授との共同研究が当初予定より遅れ気味である。しかし、大面積化などは他の予算確保もあり当初の予定を前倒してほぼ目的を達成できた。 ③ 環境センシング:研究協力者との共同研究はほぼ当初の計画通りであり順調に進展している。 ④ 歪み分布可視化:連携研究者との共同研究は当初の計画を前倒して進展しており,目標をほぼ達成しつつある。なお、この研究テーマについては他の予算(JST A-STEP他)により社会ニーズに対応した非破壊検査技術への応用研究が開始された。そこで本科研費では基礎的な研究(歪みと構造色の相関)に目標を修正し、研究を推進する計画である。 ⑤ 1次元フォトニック結晶:研究協力者との共同研究により高屈折率物質であるカルコゲナイトガラスを用いたインバースオパール構造の形成に成功しており、ほぼ当初の計画は達成しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
① オパール構造と光学結晶のデザイン:当初計画したシリカ粒子を合成しコロイド合金結晶を実施する。 また、コアシェル型単分散粒子の合成にも取り組む。 ② オパール結晶薄膜の高品質化:コロイド粒子の濃縮結晶化について成長過程の解明を継続する。この研究には連携研究者の米国ワシントン大学のLucien Brush准教授と共同で進めている。研究の進展が多少遅れているが、今夏、来日して集中的に議論を行い結晶成長のメカニズムのモデル化を進める。 ③ 環境センシング:研究協力者の米国イリノイ大学Serap Erdal准教授との共同研究を推進する。初期の成果を論文にまとめると共に、別予算で同氏を日本に招聘し、研究の更なる加速を図る。本目標はほぼ達成の目処がついており、この基礎研究の成果を元にシュールガス産業の急成長に伴い懸念される、水環境汚染の低コストモニタリング技術への応用を進める。 ④ 歪み分布可視化:本テーマは広島大学の連携研究者と土木研究所の共同研究(連携研究者の研究設備を利用し共同実験)を引き続き推進する。科研費の研究成果を元に、その応用研究としてJSTのA-STEPの委託研究(H23年度後期~H24年度前期)も実施し、事後評価により高い評価を受けた。本科研費では材料設計とその基本特性(変形とブラッグ回折ピークのシフト量)の基礎研究に焦点を絞って研究を進める。 ⑤ 1次元フォトニック結晶:チェコ共和国のパデュビッセ大学のDr.Tomas Kohoutek氏が研究協力者で有り、引き続き高屈折ガラスであるカルコゲナイトガラスによるインバースオパール構造の薄膜形成に関する共同研究を推進する。さらに、光の閉じ込め効果の高い1次元フォトニック結晶の別アプローチとしてH25年度から宇都宮大学の連携研究者と共同研究を実施する。触媒ゾルゲル法による酸化チタンによるインバースオパール構造の形成を試みる。
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