研究課題/領域番号 |
23360316
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古原 忠 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50221560)
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研究分担者 |
宮本 吾郎 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60451621)
紙川 尚也 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30530894)
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キーワード | 逆変態 / せん断型変態 / EBSD / Fe-Ni合金 / その場観察 |
研究概要 |
逆変態温度が低くせん断的な逆変態が起こりやすいFe-(11,18,23)Ni合金を作製し,加熱中の逆変態組織に伴う組織変化をその場観察および処理後のEBSD測定を用いて調査した.その結果,Fe-11Ni合金ではわずかに表面起伏がみられるものの、母相/生成相間に特定の方位関係を持たないことから拡散型変態が起こっているものと考えられる。一方,18Ni,23Ni合金では、加熱中に明瞭に表面起伏を伴いながら逆変態し、初期組織に存在する様々な粒界が逆変態後も保存されるオーステナイトメモリー効果が生じることから,変態温度の低い高Ni合金ではせん断型変態が起こっていることが示された.さらに、これらの合金では、せん断型逆変態によってオーステナイト中に導入された高密度の格子欠陥を駆動力としてオーステナイトが再結晶し、メモリー効果が失われることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度途中で実験に用いる予定の電子顕微鏡が故障し,その修理に起因する遅延のため予算の繰り越しを行ったが、24年7月までに当初予定していた実験を実施・完了することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は、逆変態オーステナイトの微細化におよぼす前加工の影響を明らかにするため、せん断的な逆変態が起こることが確認されたFe-(18,23)Ni合金を用いて,マルテンサイト組織に冷間圧延を施した後,熱膨張測定装置を用いて種々の速度で加熱し,逆変態処理後の組織を光顕観察,SEM/EB SD測定することで,組織微細化の効果について解明する. また、低合金鋼の逆変態前組織が逆変態/正変態挙動におよぼす影響を調査するため、低合金低炭素鋼 3元合金のマルテンサイトを初期組織として,焼もどし温度および時間を変化させてフェラ イト/セメンタイト間の元素分配状態を制御した試料について,種々の加熱速度で逆変態させる.その後,焼き入れたマルテンサイト組織中の合金元素の偏在状態の計測を電子線プローブ法(EPMAおよびTEM-EDS)で行うと ともに,変態膨張測定および組織観察により逆変態後の制御冷却時に起こる正変態時の組織形成過程の解明を行う.
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