研究課題/領域番号 |
23360316
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古原 忠 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50221560)
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研究分担者 |
紙川 尚也 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30530894)
宮本 吾郎 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60451621)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 加熱制御 / 逆変態 / 組織微細化 / 非平衡 |
研究概要 |
逆変態オーステナイトの微細化におよぼす前加工の影響を明らかにするため、前年度までにせん断的な逆変態が起こることが確認されたFe-(18,23)Ni合金を用いて,マルテンサイト組織に冷間圧延を施した後,熱膨張測定装置を用いて種々の速度で加熱し,逆変態処理後の組織を光顕観察,SEM/EBSD測定することで,組織微細化の効果について調査した.その結果、前加工に関わらず逆変態温度はほとんど変化しないものの、変態前加工を施すことで組織は微細化することが明らかになり、変態前加工+逆変態処理は組織微細化に有効であることが示された. また、低合金鋼の逆変態に伴う組織変化を調べるため、Fe-C-Mn 3元合金のマルテンサイトを初期組織として,逆変態に伴う組織変化を調査した.その結果、逆変態オーステナイトは針状および塊状という2種類の異なる形態をとることが明らかとなり、この形態の違いは逆変態オーステナイト/マルテンサイトの方位関係の違いにあることを示した.更に、塊状オーステナイト中の炭素濃度をEPMAを用いて測定した結果、短時間逆変態処理の場合にはオーステナイト中の炭素濃度は状態図から予想されるよりも著しく高い値まで濃化するが、処理時間が長くなるとMnの分配を伴いながら平衡状態に近づくという新たな知見を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fe-Ni合金およびFe-Mn-C合金における逆変態挙動の調査及び変態前加工が逆変態に及ぼす影響について、当初の予定通り調査を完了することが出来ている.また、その中で従来知られていない逆変態に伴う平衡状態を超える過剰炭素の濃化という新たな現象が発生することを見出していることから、計画を十分に達成していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に作製したFe-(0.05-0.35)%C-M 3元合金のマルテンサイト初期組織から種々の条件で逆変態処理させた試料を用いる。これらの合金における初期マルテンサイト/逆変態オーステナイト界面からSEM/FIB装置を用いて試料を切り出し、三次元アトムプローブ測定することで、サブナノスケールでの添加元素(M)の分配挙動を明らかにする. また、逆変態における界面移動速度を熱力学と拡散計算を組み合わせたプログラムを用いて解析することで、元素分配と逆変態速度の非平衡状態の熱力学的状態の解明を目指す。以上得られた成果をもとに,制御加熱に基づく低合金鋼の組織微細化の指導原理を提案する.
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