研究課題/領域番号 |
23360317
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 和洋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50312616)
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研究分担者 |
高奈 秀匡 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (40375118)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | コールドスプレー / 粒子付着 / 運動・反発エネルギー / 成膜条件マップ |
研究概要 |
コールドスプレーにおける粒子の成膜では,粒度分布を持った無数の粒子がほぼ同じタイミングで基材に衝突するため,1つずつの粒子の飛翔速度や粒径が異なることや粒子間での干渉による速度の変化があり,粒子の変形挙動と付着の関係を正確に評価することが困難である.そこで,平成24年度は,粒径を固定した単粒子を飛翔させ,基材表面へ付着させることが可能な「コールドスプレー模擬単粒子衝突システム」を開発した.このシステムは,単粒子のみを飛翔させ,速度を制御することで,スプレー条件を変化させた際の各種材料に対する粒子付着挙動を詳細に評価することが可能である.最終年度である25年度は,このシステムを用い,粒子付着に及ぼす粒子の大きさ,粒子速度,および粒子-基材の組み合わせ等のパラメータを変化させ,コールドスプレーにおける粒子成膜条件マップを構築する.上述の実験と平行し,数値解析においても,同パラメータを変化させた場合の影響を詳細に評価し,実験データの信憑性を向上させる.さらに,実験データおよび解析データを用い,粒子速度および粒径から得られる粒子の運動エネルギーおよび基材への粒子付着時に発生する反発エネルギーを求め,運動エネルギーおよび反発エネルギーの違いによる粒子付着への影響に関しても検討し,粒子付着の評価式(理論式)を求める.この結果から,実験によるスプレー条件の最適化を行わずして,最適な成膜条件を解析で求める手法を確立する.また,粒子と基材成膜の組み合わせに関し,材料の機械的特性とスプレー条件から予測可能にさせる.得られた結果は,日本溶射学会全国講演大会,日本材料学会年次大会等で口頭発表し,発表時に得られた多くの意見を参考にジャーナル紙への投稿を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,単独粒子の速度を計測する目的でコールドスプレー模擬単粒子衝突システムを開発し,単粒子を基材上へ付着させることに成功した.現在,有限要素解析,粒子法等の数値解析との比較を行っており,おおむね良好な結果が得られている.今後は粒子速度,粒子材料を変化させ,成膜条件マップを完成させる.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に開発したコールドスプレー模擬単粒子衝突システムを用い,粒子速度および粒子・基材材料を変化させ,成膜条件マップを完成させる.ただし,現時点では,粒子速度が十分ではなく,軟質材料粒子のみの付着が可能なことから,粒子速度の改善を行い,硬質材料粒子の付着も可能にさせる.この際,高速度カメラを用い,粒子が塑性変形する様子を詳細に観察する.また,粒子の変形挙動を有限要素解析および粒子法の一種であるSPH法(Smoothed Particle Hydrodynamics Method)を用い解析することにより,スプレー条件の選定を実験することなく,解析から求める手法を確立する.
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