研究概要 |
[1]Backmann CHOダイヤグラムの理論解明 Bachmannが,1991年に発表した,ダイヤモンドのCVD形成のための原料組成条件(ダイヤモンド形成領域)では,ダイヤモンド形成領域がなぜこの形になるのかはずっとわかっていなかった.イオン化エネルギーと電気陰性度の規則によって,優先される化学反応を決定することで,まず,液中プラズマでは,原料から一酸化炭素(CO)が形成されて安定化し,残った原子状炭素と原子状水素から基板上での化学反応でダイヤモンドが形成されると仮定する.もし,原料液体から一酸化炭素が形成されて,アルコールと反応し酸を形成して液体中に戻り,残った原子状炭素に対して原子状水素が一定割合以上基板上で衝突したときにダイヤモンドが形成されるとしたら,COを頂点とするくさび形の領域でダイヤモンドが形成されることになる.本研究ではその仮説が正しいことを,プラズマ発光分光分析によるプラズマ中の存在ラジカルの調査と原料のガスクロマトグラフ質量分析による形成物(酸)の検査から証明した.検証された結果をDiamond and Related Materials誌に投稿し,掲載された. [2]グラファイト基板上へのダイヤモンドのヘテロエピタキシー 単結晶ダイヤモンド(100)と(111)の両表面に対し,液中プラズマCVDによるホモエピタキシー成長実験を行った.(111)には,双晶状態で(100)配向で成長がおこりホモエピタキシーがなされないが,(100)には,高配向で(100)成長がおこり,^ホモエピタキシーが実現することがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
汎用マグネトロンアレイ装置については,マイクロ波の吸収が思いのほか激しく,プラズマ発生が実現できなかった.電極方式の高効率プラズマ発生装置製作へと方向転換する.ホモエピタキシー以外の基板上へのダイヤモンド形成についても,核形成が困難であり,進展がなかった.その点については実現可能なホモエピタキシー高速合成と,デバイスへの応用が望まれている金属基板上への高速成膜へと研究を進める.
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